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2009/02/13

暗殺者

監督:リチャード・ドナー
出演:シルヴェスター・スタローン/アントニオ・バンデラス/ジュリアン・ムーア/アナトリー・ダヴィドフ/ミューズ・ワトソン/スティーヴン・カーン/ケリー・ローワン/リード・ダイアモンド

30点満点中17点=監3/話4/出4/芸3/技3

【対峙する暗殺者ふたり、その勝負の行方は?】
 最高の暗殺者として知られるロバート・ラス。だが15年前、友人でナンバー1スナイパーのニコライを射殺したことが心の重荷となっていた。そんな折、新たな依頼を遂行しようとするラスの目の前で標的が若き暗殺者ミゲール・ベインに殺される。さらにハッカー狙撃のため赴いたホテルにもベインは姿を現す。依頼人への不信感を募らせるラス。エレクトラと名乗る女性ハッカーとの関係、そしてベインとの対決は、カリブへ舞台を移す。
(1995年 アメリカ/フランス)

【もっと面白く作れたはず】
 ウォシャウスキーさん家の兄弟に『ROCK YOU!』『ミスティック・リバー』のブライアン・ヘルゲランドが手を貸せば、これくらいのモノが出来上がるのは当然。
 盗撮機材やジャスミンなど周到に張り巡らされた(かなりあからさまではあるけれど)伏線を武器に、あるいは「髪を切れ」のようにユーモラスなセリフを撒き散らしつつ、ラストまで予断を許さぬ展開で引っ張る。

 まだまだ強引なところもあり、「頭の中で考えました」的な雰囲気も残ってはいる。が、簡潔な状況説明・背景説明、省略の妙、流れ・動きで見せるところはグイグイと進めていく配慮などを示し、ただのガン・アクションにはとどめないぞ、「ほほぅ」と感じさせてやるぞ、という気概のあるストーリー/シナリオになっている。
 特に序盤、向かい合っての会話なしに暗殺者の孤独を感じさせつつ、ラスの置かれた立場や流儀を描き、そしてベインの介入から話の本筋へと畳み掛けていく流れのよさが上質。登場人物を最小限にとどめ、暗殺者ふたりの対決に的を絞ったことで、いいテンポも生み出されている。

 中心となる3人の雰囲気もいい。シルヴェスター・スタローンは寡黙な暗殺者を無理なく演じ、アントニオ・バンデラスは持ち前のアブナさを全開にしての好演。ジュリアン・ムーアも、エレクトラという掘り下げられていないキャラクターを彼女なりにキュートに見せてくれる。

 もったいないのは演出。汗やホコリやアップの多い暑苦しい絵作りはまぁいいとしても、これだけ伏線のあるミステリアスな仕立ての話なのだから、もうちょっとスタイリッシユさやシャープさが欲しかったところ。
 リチャード・ドナーは『レディホーク』とか『グーニーズ』のジメジメした場所でドタバタする雰囲気は嫌いじゃない(っていうか、この2本は割と好きな作品)んだけれど、最近は『タイムライン』でズッコケて、『16ブロック』もフツー。まぁもともと「上手にまとめました」的な職人さんであるわけだが、今回も全体に手堅いばかりで驚きはなく、やや古めのアクション物の作り。スタローンとバンデラスのマッチョぶり+クレバーさも十分に生かせているとはいいがたい。
 面白いんだけれど、もっともっとワクワクできるものにもなったよな、という印象の残る仕上がりといえるだろう。

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