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2009/02/09

ミラーマスク

監督:デイヴ・マッキーン
出演:ステファニー・レオニダス/ジェイソン・バリー/ジーナ・マッキー/ロブ・ブライドン/ドラ・ブライアン/スティーヴン・フライ/サイモン・ハーヴェイ/ニック・ロブソン

30点満点中17点=監3/話2/出4/芸4/技4

【光と影の王国で、少女は世界を救う旅に出る】
 移動サーカスの団長である父と曲芸師の母を持つヘレナ。自身もジャグラーや売り子としてサーカスを手伝っているが、そんな生活に嫌気が差し、普通の暮らしを送りたいと思っていた。そんなとき母が病に倒れ、自分が母を困らせたせいだと思い悩むヘレナは夢の世界へと迷い込む。そこでは母に似た光の女王が眠り続け、闇が世界を覆い尽くそうとしていた。ヘレナは道化師のバレンタインとともに、女王を救う“チャーム”探しの旅に出る。
(2005年 イギリス/アメリカ)

【いかがわしさと妖しさと】
 ヘンソンは死してなおヘンソンだし、デジタルになってもヘンソンだということが、よくわかる。かつて『ダーク・クリスタル』にワクワクした身にとっては嬉しい作品。
 加えて『ネバー・エンディング・ストーリー』あたりの風味もあるし、もちろん“アリス”でもあり、そっちの“気(け)”がある人には、なかなか楽しめる“いかがわしき妖しさ”が満載だ。

 ゴールドとセピアとインクで作られた世界に、置かれる光、浸食する闇。クリーチゃーどもがワラワラとあふれ、画面は揺れて歪み、意味を成さない会話が飛び交う。風や雷鳴をクッキリと捉え、BGMで場面を盛り上げ、音楽を用いてバシっと場面転換する音演出も面白くて、鮮やかにひとつの世界を作り上げていく。

 裏を返せば「そっちだけ」ともいえる映画。
 美術・デザイン・外観=世界観に馴染めないと、ただのキワモノにしかうつらないだろう。全体として教育テレビっぽく、ストーリー/テーマは難解というか、自分なりの解釈・咀嚼を試みないと置いてけぼりを食らうような猥雑さ。まぁ夢の世界の話なんだから、そうなって当然なのだが。

 光と闇は人間の中にある二面性の象徴か。感情をストレートに示す“顔”ではなく、体面と建前を表す“仮面”が求められるインチキ臭い社会で、夢や成功の象徴たる“塔”に固執するものが跳ね、没個性の中でなんとか輝こうとする“鳥”が飛ぶ。
 少女は戸惑い、“窓”を通じて自己を再確認しようとするが、それはたやすいことではない。ときには“本”=知識や経験に助けられたり足を引っ張られたりもする。
 そしてようやく、自分の中にはさまざまなものが蠢いていて、その写し鏡として“顔”が存在することを知り、少女は素直に、自分の内面をそのまま顔に貼り付ける“ミラーマスク”を被る……。

 とはいえ、そんな洋物の児童文学らしい「グチャグチャの説教臭さ」を頭で理解するのではなく、むしろ下半身とかみぞおちあたりで「妖しさ、いかがわしさ、不快感という快楽」を感じる映画だろう。『ICO』をもう一度プレイしたくなり、小島麻由美を聴きたくなる作品ともいえる。

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