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2009/03/17

アウトブレイク

監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:ダスティン・ホフマン/レネ・ルッソ/モーガン・フリーマン/ケヴィン・スペイシー/キューバ・グッディング・Jr/パトリック・デンプシー/ゼイクス・モカエ/デイル・ダイ/ドナルド・サザーランド

30点満点中17点=監3/話4/出4/芸3/技3

【凶悪ウイルスを食い止められるのか?】
 1967年、戦乱のザイールで“封じ込め”られたはずの凶悪なウイルス性伝染病。だが不法に持ち込まれた猿が原因となり、そのモターバ・ウイルスが現代のアメリカで爆発的な広がりを見せる。感染者の臓器を溶かし、病状の進行は極めて速く、致死率100パーセント。軍の伝染病研究所で働くサム・ダニエルズ大佐、その元妻で疾病予防センターのロビーらは対策に奔走するが、事件の裏には米軍の恐るべき機密が隠されていた。
(1995年 アメリカ)

【まあまあ楽しめるが、古さも感じる】
 ヘリは山ほど飛ぶし、軍用機も軍用車両もふんだんに登場。それが正解。そうしたカネのかけかたが「事の重要性」を語るもととなり、リアリティを生んでいく。

 さらに、巧みなカメラワークでパニック心理を表現し、野っぱらに立てられるテントや死体の山で爆発的な感染を示し、接触と感染の経路がどれほど多彩であるかも盛り込み、かと思えば「クッキーに手を伸ばす子」の部分ではホっとさせるなど、全体に丁寧な作り
 特に映画館のシーンでは、公開当時これを劇場で観た人をイヤぁ~な気分にさせたはずで、そういうイジワルな配慮も気が利いている。

 クライマックスでバカ・アクションへと向かったのはいただけないが、ダニエルズらが障害を乗り越えて徐々に解決へと迫っていく展開はまずまず面白く、各会話のラストの部分をちょっとヒネった「言い切るのではなく、におわす」ようなセリフにするなど、トータルでは頭の悪さがない、よくできたシナリオといえるだろう。

 出演者も無駄に豪華。ほとんどの人のオスカー受賞は本作以後だけれど、まぁよくもこれだけ集めたもんだ。おかげでB級臭さが排され、デキをキリっと引き締めているから無駄ではなかった。モーガン・フリーマンに軍服ってのは似合っていなかったけれど。

 ただ、わずか十数年前の作品に、古さを感じてしまう。冒頭の戦闘シーンはやや迫力に欠け、本編の撮りかたもフツーといえばフツー。人物や出来事とカメラの距離が一定で、ダイナミズムにもスケール感にも乏しい。
 たとえば画面の色合いを人工的なものにするとか、広角や表情のクローズアップを増やすとか、ウソでもいいからもっと悲惨な発症者を登場させるとかすれば、映画としての格も上がったはず。素材の豪華さを生かし切れていないのだ。
 不幸にも本作製作から数年以内に『プライベート・ライアン』や『タイタニック』、『ガタカ』『マグノリア』、さらには『マトリックス』といった傑作が次々と生まれ、戦闘、パニック・サスペンス、シャープな絵づくりや焦りの描写、特撮技術などにおけるニュー・スタンダードを作り上げた。それらを見慣れた目には、どうしても「ちょっと前の作品だな」とうつってしまうのだ。

 また“多様性”がドラマの標準となった今日なら、一応は軍医を主役としつつも、患者とその家族、軍の上層部と実行部隊、政界、記者などの描写にもそれなりのパワーを割き、奮闘、暗躍、理不尽さ、不安などを、よりダイナミックに詰め込んだ密度の高い映画が作られることだろう。

 そのあたりは割り引いて観てあげれば、まあまあ楽しめるパニック・サスペンスではある。

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