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2009/04/15

ゾンビーノ

監督:アンドリュー・カリー
出演:キャリー=アン・モス/クサン・レイ/ディラン・ベイカー/ティム・ブレイク・ネルソン/ヘンリー・ツェーニー/ジェニファー・クレメント/アレクシア・ファスト/マリー・ブラック/アーロン・ブラウン/ブランドン・オールズ/ソニヤ・ベネット/ロブ・ラベル/デヴィッド・カイ/ビリー・コノリー

30点満点中18点=監3/話3/出4/芸4/技4

【ゾンビは、僕の友だち】
 ゾムコン社が開発した首輪によって従順になったゾンビたち。フェンスで囲まれた安全な町で、一般家庭でもゾンビを“ペット”として飼う社会が出来上がる。パパの反対をよそに、ひとりのゾンビを手に入れたママ。息子のティミーは彼にファイドと名づけて心を通い合わせるようになるのだが、思いも寄らない事件が……。もしこのことがバレたら、お隣に住むゾムコン社の警備主任ボトムズさんが僕らをフェンスの外に追いやってしまう!
(2006年 カナダ)

【意外とシニカル、異色のゾンビ映画】
 なんとなく『E.T.』をはじめとする「黙って動物を飼う少年のドラマ」みたいな内容を思わせる上記あらすじだが、実際には結構ブラック。これまで観てきたゾンビ映画の中でも、かなりのブっ飛び具合かも知れない。

 アーカイブ風の映像とニュース風ナレーションからなるオープニングを経て、60年代北米の郊外がドバっと広がる。整えられた芝生の庭、瀟洒な邸宅が並ぶ街、緑や赤や青の鮮やかさ、そしてファッション。背景に流れるのはウキウキのオールディーズだ。
 そんな青春映画風の舞台に闊歩する、いや、ノロノロと歩くゾンビたち。架空の世界を作り上げてそこへ観客を誘うと同時に、牧歌的近代社会とゾンビとのミスマッチで不可思議感も提示する手法が、まずは秀逸。

 しかもゾンビたち、ガッカリしたり傷ついたり。
 いっぽうの人間は、必要以上にゾンビの存在を恐れたり支配者面をしてみたり。ゾンビに愛情を感じながらもなおペット(または召使い)として扱う理不尽さも見せる。
 まぁ人を食っちゃうシーンは当然出てくるとして、ゾンビ映画ではある種のタブーである「子どものゾンビ」や「殺される子ども」なんかも描かれたりする。

 そこで沸き上がってくるのが、ゾンビ/アンデッドとは何なのか、何をもって生と死は分かたれるのか、ゾンビのいる社会とはどんなものなのか、愛する者に対する支配欲、本当の意味での家族と幸せ……といった、数々の疑問だ。
 あるいはゾンビを、カネとか見栄とか、経済至上主義とか格差とか、そういった近代社会が抱える闇の象徴と捉え、それらを上手に飼い馴らしていくことが僕らの生きかたなのかも、なんて思わせたりもして。

 散りばめられた笑い、コメディ演技(ファイド役ビリー・コノリーが“真面目に”ゾンビを演じているのがなかなか)、省略の上手さが生むテンポで観やすい仕上がりとなっているが、その中に、ギッシリと思考の種を詰め込んだ映画でもあるのだ。

 バカバカしい思いつきをもとに作られ、けれどシニカルな社会批評を盛り込むことも忘れなかった、異色のゾンビ映画である。

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