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2009/04/09

オーロラの彼方へ

監督:グレゴリー・ホブリット
出演:デニス・クエイド/ジム・カヴィーゼル/ショーン・ドイル/エリザベス・ミッチェル/アンドレ・ブラウアー/ノア・エメリッヒ/メリッサ・エリコ/ダニエル・ヘンソン/ステファン・ジョフィ/ジャック・マコーマック/マイケル・セラ

30点満点中19点=監4/話5/出4/芸3/技3

【30年の時を超え、つながる父と息子】
 1999年10月、空がオーロラに覆われたNYのクイーンズ。刑事のジョン・サリヴァンは数十年も続く連続殺人事件“ナイチンゲール”を捜査していたが、恋人サムとはすれ違いの日々を過ごしていた。そんな折、父フランクの遺品である無線機が息を吹き返し、30年前の父と同じ無線機でつながる。それは、消防士のフランクが火災現場で殉職する前日。何とか父を助けようと助言するジョンだったが、その行為が思わぬ事態を引き起こす。
(2000年 アメリカ)

★ネタバレを含みます★

【チェンジ・オブ・ペースの面白さ】
 先に観た妻から「30年前に死んじゃったお父さんを救う話。最後は親子で野球」とあらすじを聴かされて、それってタイム・パラドックスものとしては安っぽいんじゃないの、と、あまり期待せずに鑑賞。
 ところがどうして、なんじゃいこの面白さ。肝心な部分を何も話さなかった妻に感謝。

 序盤は、ややマッタリとした流れ。思わせぶりで、テンポはあまりよくなくて、ちょっと居心地が悪い。マッタリの割にはアッサリとパパ生還。「おいおい、もう助かっちゃったよ」。
 ところがそこから急展開、まったく別の映画へと軌道が変わってスピードもアップ、俄然楽しくなってくる

 タイム・パラドックスものの必須要件である「伏線としての、現在と過去とをつなぐ出来事」を、序盤も含めて上手く散らしてあるのがいい。机のコゲ跡、Yahoo!、登場人物たちの職業や立場、事件と被害者、サイフ、そしてワールド・シリーズ……。
 そこへ犯罪捜査・殺人防止のための悪戦苦闘というスリルを絡めて、まったく飽きさせずにクライマックスまで畳みかけていく。各伏線の回収もぬかりなくて、興奮と誠実さとをしっかり両立させた優秀なシナリオといえるだろう(脚本は『デッドコースター』『バタフライ・エフェクト』『ナンバー23』の製作総指揮を務めたニュー・ライン・シネマのトビー・エメリッヒ)。

 さらにモノをいうのが、デニス・クエイドの存在感。彼が体臭として発散させる“父性”が、本作を支える太い柱となる。ともすれば「ちょっと都合よすぎだろ」とか「ジョンもフランクもパラドックスや事件の真相に対する理解が早すぎるんじゃないか」と感じてしまう展開でありながら、性急にならず説得力を付与しているのは、まさにフランク=デニス・クエイドの、お父さんとしての奮闘のおかげだろう。
 まぁそのぶんジム・カヴィーゼルが薄くなっちゃったし、30年昔の出来事に直接手出しできないというジョン側の“やきもき”がもっと欲しかった(雨が止まないかなぁとズブ濡れになって空を見上げているジョンの姿が秀逸だった)とも思うし、6歳のジョンが36歳のジョンと“つながる”ような見せ場もあってよかったよなとも感じるが。

 演出としては、ここぞという際のスロー・モーション、うぅわんと盛り上げるサウンド、一部だけを見せて「?」と思わせておいてから全容を映すなど、サスペンスとして手堅い作り。全体として、脚本の面白さを損ねず、かつドキドキも感じさせる素直な撮りかただろう。

 中盤以降のチェンジ・オブ・ペースに対する戸惑いが「感動作だと思っていたのにシラケた」などという声を呼ぶ例もあるようだけれど、いや、ジョンとフランクと同様に「めでたしめでたし……。えっ、違ったの!」と、驚きや焦燥とを味わえることこそ本作のキモ。
 ちょうど『LOST』で、もうバケモンみたいな名作=シーズン4・エピソード5・通算第77話の「定数(The Constant)」を観たばかりで、これくらいのクォリティを持つタイム・パラドックスものがまだ作れるんだと涙したところだったんだが、それから間もなく「おお、こういう作りもあったのか」とまたも感心させられた、拾い物の佳作である。

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