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2009/04/20

アフリカン・シンジケート

監督:オリヴァー・シュミッツ
出演:テレサ・ショルツェ/セバスチャン・ストレーベル/トニー・キゴロギ/スーザン・ダンフォード/グラント・スワンビー/モシディ・モシェワ/リダ・ボタ

30点満点中13点=監3/話3/出2/芸3/技2

【謎多き拉致事件。その裏には……】
 プロの長距離選手を目指すフランクとバイク・メッセンジャーのマリサ。貧しい彼らは学生向けの超格安ツアーを利用し、新婚旅行のため南アフリカを訪れる。立派とはいえないホテル、気味の悪い老女の支配人に不満を抱きながらも、愛を確かめあうふたり。が、突如として現れた救急車にフランクが連れ去られてしまう。かろうじて逃げおおせたマリサは、通りがかったサラフィナとその夫ビコに助けを求める。事件の裏側に潜んでいたのは……。
(2008年 ドイツ/南アフリカ)

【ポテンシャルは感じるが】
 内容もほとんど知らぬまま、オリヴァー・シュミッツの監督作ということだけで鑑賞。オムニバス映画『パリ、ジュテーム』でもっとも印象的だったエピソード=「お祭り広場」でメガホンを取った人物だ。

 その「お祭り広場」は喩えようのない寂しさにあふれた秀作だったが、こちらは一転して犯罪サスペンス。それはいいとして、TVムービーということもあってかスケール感に乏しく、鮮やかさもなく、ウムムなデキ。
 どうにも貧乏臭いというか自主制作臭いというか。

 恐らく予算が限られていたのだろう、カー・チェイスなどのアクションに手間ひまがかけられておらず、TV放映前提のせいで暴力描写もかなり控え気味。解像度が低くてベタっとした映像も、いかにもTV的だ。
 せっかくビコやドクター・ジャクソンという重みのあるキャラクターもいるのに、そのへんは端折って軽く観られるお茶の間向けのテンポに仕上げてある。『肉』という原題に含まれるアフリカの暗い現実にも、もっと踏み込むことだってできただろう。

 決定的に本作をウムムなものにしているのが、まずはアフレコ。どうも南アフリカ人に拙いドイツ語を喋らせ、それにネイティブの声を被せるという手法が採られているらしく、「口の動きと発声のギャップ」が安物っぽくていただけない。
 もう1つが、主演テレサ・ショルツェの演技。ドイツのテレビ界ではそれなりの人気とキャリアを持つヤング・アダルト女優のようだが、もうちょっとメリハリの利いた、感情がオモテに沸き上がってくるような芝居をできなかったもんか。

 好意的に捉えれば、かなりのポテンシャルは秘めていると思う。こういうことが現実にありうる(のかどうか知らないが)ということを知らせる役目を考えれば作品としての存在価値もあるはず。また、たびたび描かれる「拳銃をつきつけられるシーン」でのヒリヒリした間(ま)や黒人居住区の酒場の場面には不思議な恐怖感がある。
 脚本を(ビコとドクター・ジャクソンに関する描写を増やす方向で)練り直して、主演にエミー・ロッサムとキウェテル・イジョフォーあたりを持ってきて、予算もかけて陰影のある絵で撮られたなら、もっといい映画になると思うのだが。

 本作だけでこの監督を見限りたくはないところ。ビコ役のトニー・キゴロギが主演の『Hijack Stories』なんか、You Tubeでチラっと観る限りではなかなかに面白そうだし。
 でも、字幕つきでちゃんと観るすべがないってのが痛い。

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