AVP2 エイリアンズVS.プレデター
監督:コリン・ストラウス/グレッグ・ストラウス
出演:スティーヴン・パスキエ/レイコ・エイルスワース/ジョン・オーティス/ジョニー・ルイス/アリエル・ゲイド/クリステン・ヘイガー/サム・トラメル/ロバート・ジョイ/デヴィッド・パートコウ/トム・ウッドラフ・Jr./イアン・ワイト
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4
【ついに地上が、奴らの狩場となる】
宇宙船内でプレデターとハイブリッド・エイリアンの戦闘が起こり、船はコロラド州ガニソンの森林地帯へと墜落。地に放たれたエイリアンは次々と人を襲い、一気に増殖していく。久しぶりに町へ戻ったダラス、弟のリッキーとそのクラスメイトたち、保安官のモラレス、軍役から帰還したケリーと娘のモリーらにも迫る危機。彼らの周囲では、エイリアンたちと、それを滅しようとするプレデターとの闘いが激化していくのだった。
(2007年 カナダ/アメリカ)
【序盤は良好、終盤で一気にしぼむ】
思えば『エイリアン』の歴史は変革の連続だった。閉鎖環境下のSFサスペンスから一気に戦争アクションへ、ゴシック・ホラーもアメコミ風のダークな展開も取り込み、そしてプレデターの“獲物”へと身をやつし……。
まぁ成功ばかりとはいえなかったが、単なる続編に終わらせないぞという気概を見せてくれるシリーズであることは確かだ。
今回も大きくシフトチェンジ。
舞台は森に囲まれた田舎町。登場するのは、久しぶりに町へ帰ってきたタフガイと、バカな若者たちと、保安官と、帰還したばかりの女性兵士。つまりはパニック・ホラーを思わせる空気。
なるほど、ジェイソンやフレディの代わりにエイリアンを跋扈させようという腹づもりである。
ついでにパート1やパート3を想起させる場面を用意してファンサービスにも心を砕き、この手の作品ではタブーであるはずの「子どもが残虐に殺される」シーンを作って独自性も創出(是非はともかく)。
バカバカしいけど楽しいじゃん。
特に序盤が、すこぶるいい。低域響く音楽で一気に引き込むオープニングから、セリフ/字幕に頼らなくても人間関係やプレデターの目的がなぁんとなくわかる展開が続き、ああコイツは殺されるだろうなという予感もしっかり抱かせる。敵(エイリアン)の敵(プレデター)は人類の味方じゃないってことも示す。
説明に頼らず見せてわからせる作りで、サクサクっと進んでいく。
監督のストラウス兄弟は、VFX畑を歩んでいる人たちらしい。フィルモグラフィには『コンスタンティン』とか『300』とか、ヴィジュアル系の映画が並ぶ。でも本作は単なるコケオドシに終わらず、ちゃんと“ストーリーを描く”という方向で進めているのがエライ。
こりゃあ前作『AVP』は超えたな、と思って観ていたのだが、中盤からハラハラもワクワクもできない、ただのグッちゃんグッちゃんモンスター・アクションに堕していく。
いや、もうちょっと「この町で何が起こっているのか?」という雰囲気を出して、クライマックスまで引っ張ってもよかったんじゃないか。
とりわけ主人公たちが銃器店に入るあたりから、強引さと性急さが目立ち始める。しかも、軍隊は登場するけれど人数も銃器も少なく、ドカンバキュンは続くけれど建物内だったり夜間だったり、逃げ惑う人もまばらで、全体にスケール感が出てこない(小さな町だから仕方ないんだけれど)。
そういえば、ハイブリッドという設定もあまり生かされているとはいいがたいし。
惜しいなぁ。もう20分くらい長くして“ジワジワ”を醸し出し、予算も倍くらいかけられていれば、傑作になれたはずなのに。
チャージまでに時間がかかる銃。このガジェットに代表されるジワジワ&ヤキモキを、もっと出すべき。それが不足している終盤の展開で、すごく損をしている映画である。
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