プラネット・テラー in グラインドハウス
監督:ロバート・ロドリゲス
出演:ローズ・マッゴーワン/フレディ・ロドリゲス/ジョシュ・ブローリン/マーリー・シェルトン/ジェフ・フェイヒー/マイケル・ビーン/レベル・ロドリゲス/ナヴィーン・アンドリュース/フリオ・オスカー・メチョソ/ステイシー・ファーガソン/ニッキー・カット/トム・サヴィーニ/マイケル・パークス/クエンティン・タランティーノ/ブルース・ウィリス
30点満点中18点=監4/話4/出3/芸3/技4
【ゾンビに覆いつくされた町、彼女らは走る】
テキサスの、とある町。軍人のマルドゥーンと化学者アビーの争いがもとで極秘裏に保管されていたウイルスが漏れ出し、付近の住民が次々とゾンビ化する。ゴーゴー・ダンサーのチェリー、その元カレで謎の解体業者レイ、町外れでバーベキュー・ハウスを営むJTと弟のヘイグ保安官、険悪な関係のブロック医師とダコタ医師の夫妻ら、生き残りのもとに迫る無数のゾンビたち。果たして彼らは、地獄のような町から逃げ出せるのか?
(2007年 アメリカ)
【楽しさと気配りのある超B級】
同プロジェクト作の『デス・プルーフ』は最初っからC級を狙って作られていたが、こちらは「B級の素材を、A級の味つけで超B級に仕上げた」といったテイスト。
そのぶん、映画としてのデキではこちらに軍配が上がる。
いや、バカバカしいというか、安っぽいことには変わりない。
フィルムの傷や「1巻消失」など“グラインドハウス”らしさを再現。大仰なSEによる安直なショッカーも試みる。サービス的なベッドシーンも用意されている。
極秘に開発されていたゾンビ化ウイルスという根本設定のほか、激しくぶっ飛ばされても平気だったり、ただのダンサーやベビーシッターがやたらと強かったり、医者のクセに危機管理意識がサッパリだったり……といった細かなところまで、リアリティは皆無だ。
そこでポケバイって何やねんっ! と、ツッコミどころも多々。まさに狙った安っぽさ。
が、いっぽうで“粋”も感じる。
それぞれ生涯を背負った多くの登場人物が1つの終着点へ向けて交わっていくクロス・エピソードの風味を取り入れつつ、『デス・プルーフ』との連続性も確保。無意味に思えるセリフが後々でちゃんと生かされたりして、意外と練られ、広がりや立体感のあるストーリーが完成している。それがまず楽しい。
見せかたも、ユニークなシーン遷移、チラリズム、遠近・明暗に気を配った絵作り、質の高いCGなど立体的。カー/ガン/格闘とアクションは多彩で、ローズ・マッゴーワンもフレディ・ロドリゲスもよく動くし、爆薬は惜しげもなく使われるし、スピード感も意外性もあるし。
全体として、テンポのよさと迫力とワクワク感とを重視、でもそれだけじゃなく「この映画に最初から最後までつきあう楽しさ」にも気を配ったパニック・ホラー・アクションがきっちり作られているといえるだろう。
ハッキリいって、好きです。こういう「グチャグチャっと作ってあるんだけれど、ストーリーや演出の細かな部分に『こうしたら面白くなるよね』というアイディアと工夫と熱意がこもっている」作品は。
まぁ、いわゆる「マンガやな」的な内容、料理でいえばファースト・フードとかアメリカン・レストランとか、どう作ったってB級にしかならないモノなんだけれど、その範疇で「食べてくれる人を楽しませよう」という意気込みを感じ、それに成功している映画だと思う。
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