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2009/07/11

インベージョン

監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演:ニコール・キッドマン/ダニエル・クレイグ/ジェレミー・ノーサム/ジャクソン・ボンド/ジェフリー・ライト/ヴェロニカ・カートライト/ジョセフ・ソマー/セリア・ウェストン/ロジャー・リース/エリック・ベンジャミン/スーザン・フロイド/アレクシス・レーベン

30点満点中16点=監3/話3/出4/芸3/技3

【夫が、妻が、子どもが、違う……】
 スペースシャトルが米国内に墜落。その後、インフルエンザが猛烈な勢いで世界中に広まり、各国政府は予防接種に取り組み始める。そんな折、セラピストのキャロルに「息子のオリバーと会いたい」との連絡が別れた夫タッカーから入る。不審に思いつつも夫に愛息を預けたキャロルだったが、タッカーこそ“感染者”であり、ある計画を実行中の人物だった。ウイルスの正体を突き止めたキャロルや医師ベンらは街からの脱出を図る……。
(2007年 アメリカ/オーストラリア)

【もっと違う作りかたがあったんじゃないか】
 履き違えちゃったな、という印象の作品。オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督は『es』でも「テーマから考えれば、この“作り”は間違いだろう」と思わせたのだが、今回も同様の過ちを犯している。

 現状は、中途半端な犯罪サスペンス・アクション。キャロルが地下鉄に乗るあたりの“この先どうなるの?”っぽさはマズマズだけれど、追う側の描写なんか、まさに中途半端。ウソっぽくてもいいから「常に歩く」とか、または『逃亡中』みたいに「急に走り出す」なんて感じのほうがいい。
 またキャロルの行動の中に、どうしても眠らざるを得なくなる理由がハッキリと示されていれば、薬局でのシーンはもっとスリリングになったはず。
 ニュース・ペーパー・スタンドのおじさんとか、しきりに登場するデジタル機器とか、焦げちゃったパンケーキとか、伏線になりそうなものを散りばめてあるのに、それらをひとつも回収しないことにもストレスを感じてしまう。
 ウイルスの正体や対抗策といった面倒くさい部分を「これこれこういうことなんだ」とペラペラっと説明しちゃう潔さがあるんだから、それ以外のディテールにはたっぷりと時間を割くべきだろう。

 それに本来ならこれって、たとえば『ガタカ』みたいに、より雰囲気に寄った撮りかた、静かな恐怖が漂う作品にすべきではなかったか。一応はジャンプカットとか時制の錯綜なんかも使ってミステリアスに仕立ててはいるけれど、もっとアーティスティックで、もっと内省的な見た目にしてもよかったんじゃないか。
 さらに、もっとアップを多用して、お芝居映画の要素もプラスする。せっかくニコール・キッドマンが主役で、ダニエル・クレイグもマッチョから離れていい空気を出しているんだし。そうすれば「人が変わる恐怖」「もしこの人まで変わってしまったら……」「ひょっとして、もう変わってしまったの?」なんていうヒリヒリ感を創出できただろうに。

 だって、社会派SFであるわけでしょう。争いをなくすには、人が人でなくなるしかない。そのアイロニカルな主張が本作のテーマであるはず。つまり、実は哀しくて、紛争の続く世界情勢について考えさせる役割を持つ映画であり、変わることの恐怖・変われないことの恐怖を描くべき映画でもあるはずだ。
 ところが、作りとしてはフツーの、しかも地味な犯罪サスペンス・アクション。ウエストショット~全身サイズがほとんど、要するに「人の内面」より事態・出来事の描写に重きを置き、音楽とスピーディなカット割で盛り上げて、そこそこのスリルを作り出していく、という仕上がり。
 履き違えちゃっているのだ。

 まぁ、観やすい映画に、売れる要素のある映画に、という方向へ進んじゃったんだろうけれど、それがそもそもの失敗、と感じさせる作品だ。

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