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2009/08/27

ビッグ・トラブル

監督:ジャン=バティスト・アンドレア
出演:デヴィッド・シュワイマー/サイモン・ペッグ/アリス・イヴ/ナターシャ・マケルホーン/ジョン・ポリト/ミミ・ロジャース/ビリー・アッシャー/ジュリアン・グローヴァー/オリヴィア・パターソン/サラ・エドモンドソン/アンバー・シーリー

30点満点中18点=監4/話4/出3/芸4/技3

【死体がどんどん増えていく】
 巡査部長の妻ペネロペや幼い娘エミリーと暮らす統計マニアのチャーリーは、教職を失い、作家を目指して出版社からの連絡を待つ日々。稼ぎを得ようとネット企業のコールセンターに就職するも、ささやかなミスでそこもクビになってしまう。コールセンターで知り合ったガスによる「違法ポルノサイトにアクセスしている牧師を脅す」という“儲け話”に仕方なく乗るチャーリーだったが、計画は次々に狂い、死体がどんどん増えていくのだった。
(2006年 イギリス/カナダ)

【楽しいトラブル映画】
 オープニングは犯罪映画というより“青春の蹉跌”みたいなノリ。ああ確かにこれは、愚か者による失敗続きのお話だ。

 だいたい、こいつらマヌケすぎ。どんだけ証拠を残すんだよと呆れかえるくらい現場を荒らし、あり得ない状況に次々と見舞われる。
 つまり、相当に非現実的なストーリーなんだけれど、そのウソで観る者をシラケさせないよう一気&軽快に出来事を畳み掛けていく。

 ヒネクレたセリフを撒き散らし、意外性に満ちた展開を続けながら、さまざまなファクターを上手に結びつけてストンと着地させたシナリオは見事。まぁ、ある1点だけ釈然としない(というより可哀想)のだが、「計画通りに進む計画は存在しない」という犯罪映画のセオリーをとことん拡大し、けれども破綻や奇想天外にまでは落とさずにまとめてみせた腕は、なかなかのものだ。

 見せかたも上々。分割画面、アニメーションによる「計画」、早送りにジャンプカット……。あらゆる手法を駆使してテンポと流れのよさが作られ、1時間半という短尺のせいもあってあっという間にエンディングへ。
 多彩なサウンドトラックもカッコよく、ノイズかと思うほどの低音でスリルを盛り上げるところもユニーク。

 監督/脚本は『-less [レス]』のジャン=バティスト・アンドレア。あっちも「IQの平均値を落とすような行為が序盤から相次ぐ」展開だったけれど、こちらはその荒唐無稽さを上手く笑いへと持っていって、楽しい映画に仕上げてみせた。
 いや、楽しいっていっちゃいけないほど死体はゴロゴロと転がるし、観た後に何かが残るとか、トラブル映画というカテゴリーの中でトップクラスに来るとか、そういう作品でもないんだけれど、『運命じゃない人』とか『ダブリン上等!』とか『11:14』とか『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』とか、大真面目にやればやるほど成功や危機回避どころか望まぬ方向へと進んで馬鹿どもがジタバタする、というタイプの映画を楽しんだ身としては、やっぱり楽しい作品だ。

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