ドラゴン・キングダム
監督:ロブ・ミンコフ
出演:ジャッキー・チェン/ジェット・リー/マイケル・アンガラノ/リウ・イーフェイ/コリン・チョウ/リー・ビンビン/モーガン・ベノワ
30点満点中16点=監3/話2/出4/芸4/技3
【導かれし者、酔いどれ導師、語らぬ僧、五行山を目指す】
カンフーおたくのジェイソンは、ホップ老人の質屋で手にした如意棒に導かれて古代中国へとジャンプする。そこは、不死の独裁者ジェイド将軍が支配する世界。対抗できる唯一の存在・孫悟空は、将軍の姦計により石像に変えられていた。如意棒で孫悟空を蘇らせるため、ジェイソン、酔拳の使い手ルー・ヤン、寡黙な僧侶、将軍に両親を殺されたゴールデン・スパロウらは五行山を目指す。が、白髪魔女に率いられた将軍の手下が立ちはだかる。
(2008年 アメリカ/中国)
【ま、こんなものか】
『酔拳』など70年代のジャッキー主演作へのリスペクトとパロディを詰め込んだような内容で、肩の凝らない作り。さして広がりもヒネリも驚きもなく、予定調和のまま進み、予定調和のまま終わる。おっ、と感じさせたのは寡黙な僧の正体くらいか。
まぁ全体に安っぽいお話なんだが、映画としての仕上がりまで安っぽくならないよう随所に気は配られている。
ちょっとしたシーンでも贅沢に中国の建築物・風景を再現しようとしていることがわかるし、チャン・イーモウを思わせるヴィヴィッドな色づかいに挑戦しているのも微笑ましい。いかにもアクション+いかにもチャイナ、というサウンドトラックもマズマズだ。
実質上の主役であるジェイソン=マイケル・アンガラノの華のなさにはビックリだが、リウ・イーフェイの可愛らしさ、リー・ビンビンの美しさはなかなかのもの。このふたりのおかげで、画面が引き締まる。
以上については「ま、ライオンズゲートのカンフー映画なら、こんなもんでしょ」といったところ。問題は、その先。
ジャッキー・チェンとジェット・リーは、単独主演作に比べるとかなり抑え目のアクション。ポテンシャルの3割くらいしか発揮していないんじゃないか、という感じだ。
それに、ここ10年ほどのカンフー映画、やたらとワイヤーとスローモーションを使いたがるのが、どうにも納得できない。ジャッキーにしろジェット・リーにしろ、生身の肉弾戦で見せるキレこそが最大の魅力なんだから、あんまり細かく策を弄しなくてもいいだろうに。ジャッキーとベニー・ジェット・ユキーデの、ガチンコすれすれの殴り合いなんかめちゃくちゃ迫力あったのになぁ。
というわけで、まとめれば「面白くないわけじゃないし、それなりに頑張っていることもわかるんだけれど『ジャッキー・チェンとジェット・リーが出るカンフー映画』なら、もっと尖ったものを作るべきだろう」、という印象の残る作品である。
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