スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ
監督:デイヴ・フィローニ
声の出演:マット・ランター/アシュリー・エクスタイン/ジェームズ・アーノルド・テイラー/ディー・ブラッドリー・ベイカー/トム・ケイン/ニカ・フッターマン/イアン・アバークロンビー/コーリー・バートン/キャスリン・テイバー/ケヴィン・マイケル・リチャードソン/サミュエル・L・ジャクソン/アンソニー・ダニエルズ/クリストファー・リー
吹き替え:浪川大輔/伊藤静/森川智之/金田明夫/永井一郎/磯辺万沙子/本田貴子/稲垣隆史/中尾隆聖/坂本真綾/玄田哲章/岩崎ひろし/羽佐間道夫/若本規夫
30点満点中17点=監4/話2/出3/芸4/技4
【クローン大戦、激化!】
共和国と分離主義者たちとの争いが激化、補給を断たれた辺境の共和国軍は苦戦を強いられていた。そんな中、辺境宙域を牛耳るジャパ・ザ・ハットの息子が何者かに誘拐される。救出依頼を受けたジェダイは、アナキン・スカイウォーカー、オビ=ワン・ケノービ、そしてアナキンの新たなパダワンであるアソーカ・タノを送り込む。だが事件の背後には、ジェダイとハット族との交戦を目論むドゥークー伯爵の影があった。
(2008年 アメリカ/アニメ)
【またまたドデカい世界だこと】
全100話からなるテレビ・シリーズの冒頭部、という位置づけらしい。ホントはエピソードVII以降を作って欲しいところなんだけれど、これはこれで「風呂敷広げすぎっ」「隙間埋めすぎっ」て感じで面白い。
まぁ『エピソードII』と『エピソードIII』の間に横たわる話で両作を観ていないとツライ部分も多く、新キャラクターであるアソーカ・タノの登場編という機能的作品でもあり、何より「90分間ドンパチしているだけ」。1本の劇場用映画として捉えると、かなり厳しいデキだろう。
でも、これは紛れもなく“スター・ウォーズ”サーガだ。
カメラの前で出来事が起こっているのではなく、世界の中にカメラが入り込むという絵づくり。ワイプで頻繁に場面が切り換わり、それによってもたらされる怒涛のスピードとギッシリ感。こうした実写版を踏襲した作りが、実写版とのシームレスな連続性を生んでいる。
シールドに着弾した際のエフェクト、マントの揺れ、R2-D2の挙動や慣性、汚れやカスレといったテクスチュアの表現など、細かな部分にまで配慮の行き届いた仕事も見事。
また、ツボだったのがヴェントレスの逃げかた。腕のボタンを押す→ランプが赤く光る→しばらく戦う→ランプが緑に変わる→飛行艇がやってきて脱出。多少強引な全体の中で、こういう“流れのよさ”を味わえるのが本作の楽しさであり、シリーズの特徴でもある。
ジェダイって高潔でも冷静でもないよね、と思わせるところもシリーズ共通に見られる面白さ(奥深さでもある)。敵は騙すわ、すぐに怒りをあらわにするわ、師匠を「スカぴょん」って呼んじゃうわ。
実はこの人間クサさこそが後の悲劇の引き金になるわけで、そうした目でアナキンの心の動きを見るのも、また楽しい。
あと「クローン・トルーパーにも、優劣・序列があるのか」という点が気になった。だってバタバタ倒れる連中に比べて、明らかにキャプテン・レックスって身体能力も判断力も上だもんな。培養から訓練の段階で、何らかの操作が施されているんだろうか。
このあたり、ちゃんとファンの間で研究されていたりスピンオフ小説などで描かれたり、そもそも正式な設定もあったりするようだけれど、そういう細かな思索を楽しめるのもシリーズならでは。
ひたすらドデカく広がっていき、けれども一本芯が通った『スター・ウォーズ』という世界に、ちょっと添えられ、メインの美味しさを引き立ててくれるサイド・ディッシュ、といった感じの作品である。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント