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2009/09/19

リボルバー

監督:ガイ・リッチー
出演:ジェイソン・ステイサム/レイ・リオッタ/ヴィンセント・パストーレ/アンドレ・ベンジャミン/テレンス・メイナード/アンドリュー・ハワード/マーク・ストロング/フランチェスカ・アニス/アンジェラ・ローレン・スミス

30点満点中17点=監4/話2/出4/芸3/技4

【復讐に燃える元ディーラー、だが……】
 7年の刑期を終えて出所したカジノ・ディーラーのジェイク・グリーン。彼の望みはたったひとつ、カジノ王のマカに復讐することだった。が、危険を察したマカは凄腕の殺し屋ソーターを放ち、さらにグリーンは自らが不治の病に冒されていることを知る。グリーンは窮地から救ってくれた二人組、ザックとアヴィの誘い(あるいは脅迫)に乗って金貸し業を手伝うことになるのだが、すべての出来事の陰には、ある“観念”が横たわっていた。
(2005年 フランス/イギリス)

【いきなりの観念世界へ】
 意気込んで作り始めてみたものの、何らかの事情で当初の予定通りには完成させることが出来ず、精神世界へ走っちゃった、的な仕上がり。
 エンド・ロールの省略なんか、署名の不足=未完成であることの証明にほかならないわけで。

 前半部は痺れるほどに極上だ。
 通常なら明示されるべきものをあえてうつさないという選択、3のうち1を見せれば残りの2は理解できるだろうという突き抜けた作り。それが実に映画的な、スリリングでスピードのある語り口をもたらす。低域響くジャズをフィーチャーしたサウンドトラックも、世界にマッチする。

 配役とキャラクターも上質。お得意のアウトローに扮するジェイソン・ステイサムとワルを演じるレイ・リオッタはもちろんのこと、ヴィンセント・パストーレもアンドレ・ベンジャミンも、殺し屋ソーター役のマーク・ストロングも、“そういう人”にしか見えないくらいにハマっている。

 とりわけ輝くのが、マカが狙われ、パニックに陥るレストランのシーン。マカの焦り、スナイパーの死んだ瞳、ソーターの冷徹な立ち居振る舞い、起ころうとしていることのシニカルさ、場の混乱などを、爆弾のような衝撃で投げつけてくる。
 このあたりの、観客をグイグイと引っ張っていく豪腕ぶりは鳥肌モノの素晴らしさだ。そうしてワクワクゾクゾクしながら作品世界へと浸り、やがて謎の二人組の正体が見え始め、さらにゴールド氏も加わった事件の全貌についての予想も働かせて、観客の(コン・ゲーム映画としての)期待度はマックスへと高まっていく。

 で、問題の後半。
 ハナっからそっちを目指して作られ、それを承知のうえで観るなら心構えもできる。が、いきなりズブズブと観客の脊椎を絡め取るように、エンターテインメントから一転、観念の世界へ深く深く沈んでいこうとする。これでは思考が追いつかない。

 まぁ“最大の仕掛け”そのものは、なるほどグリーンがマカに投げつけられる“最大の復讐”であるかも知れず、描きかたによっては成立していたことだろう。ただ、それを禅問答だけで処理しちゃったことが惜しまれる。
 ともかくは「こういうもの」と、ある種の諦めとともに受け止めるしかないか。前半の質感と方向性がキープされ、純エンターテインメントの映画として完成していたなら、間違いなく大傑作になっていたと思うのだが。

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