ギャラクシー・クエスト
監督:ディーン・パリソット
出演:ティム・アレン/シガニー・ウィーヴァー/アラン・リックマン/トニー・シャルーブ/サム・ロックウェル/ダリル・ミッチェル/エンリコ・コラントーニ/ロビン・サックス/パトリック・ブリーン/ミッシー・パイル/ジェド・リース/ジャスティン・ロング/ジェレミー・ハワード
30点満点中18点=監3/話4/出4/芸4/技3
【かつての人気俳優たちは、宇宙の英雄になれるのか?】
タガート艦長、そしてドクター・ラザラスやマディソン中尉らクルーが宇宙を駆ける『ギャラクシー・クエスト』。いまなお熱狂的な人気を誇り、ファン・ミーティングも開催される20年前のSFドラマだ。だが、その映像を“歴史的記録”だと思い込んだ宇宙人サーミアンたちは、凶悪なサリス将軍に対抗するためタガートこと俳優マイケル・ネズミスらに助けを求める。ホンモノの宇宙戦争に巻き込まれてしまったクルーたちの奮闘が始まる。
(1999年 アメリカ)
【B級を笑うB級、プラスアルファ】
戦隊モノの、ある監督いわく。「アイディアに詰まったら『また保育園のバスを襲わせちゃうか』なんて冗談も出てくるんですよね(笑)」。
ファンがネタにしてしまう、そういうバカバカしい“お約束”を、真っ向から笑っちゃおうというのが本作だ。
まぁ元ネタが何なのかは明らかだけれど、古き佳き時代のB級作品全般に対する“愛あるツッコミ”が満載(いや、いまでもツッコミどころだらけの特撮モノは多いけれど)。「自分の艇なのに、なぜか危険な仕掛けがある」とかって、かなりツボだなぁ。
あのチープなサーミアン艦内のデザインも、ドラマ(じゃなくて歴史的記録か)を真似て作ったとなれば納得至極。映画そのものの安っぽさや、ややマッタリとしたリズムは監督の力量限界のせいもあると思うが、下手に『スター・トレック』にしようとはせず、TVサイズでまとめたのは(TVドラマのパロディなんだから)当然の仕様だろう。
そのぶん、ILMなどが携わった特撮は、かなりの頑張り。またスタン・ウィンストンによるエイリアン・デザインも、怒ると背中の羽根がぶぅわっと広がったりして、その細やかさが嬉しい。
サーミアンたちのギクシャクした挙動とか拍手など、細かくキャラクターを作りこんでいるのも、『ツァラトゥストラかく語りき』風の音楽も、なかなかに楽しい。
キャストでは、結局なぁんにもしていないガイ役のサム・ロックウェルが笑える。「緑のポッチに赤のポッチが近づいてるんだけど」。ここ最高。
それと鈴置洋孝、小山茉美、石塚運昇など吹き替え陣も豪華だ。
で、ただの“B級を笑うB級”かと思いきや、人類がより悪に近い存在だと匂わせるような風刺が効いていたりもする。好きな世界に対して無条件に注ぐ愛、それは宇宙を救うのに必要な愛とイコールである、という価値観を具現化したファンを巻き込んでの大活劇が、感動を呼んだりもする。
意外な味わいも見せてくれる、超B級パロディである。
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