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2010/01/12

ホートン ふしぎな世界のダレダーレ

監督:ジミー・ヘイワード/スティーヴ・マーティノ
声の出演:ジム・キャリー/スティーヴ・カレル/キャロル・バーネット/ウィル・アーネット/セス・ローゲン/アイラ・フィッシャー/ジェシー・マッカートニー/ジョーイ・キング/エイミー・ポーラー/チャールズ・オズグッド
吹き替え:森川智之/小森創介/藤本喜久子/広瀬彰勇/石丸博也/雨蘭咲木子/下和田裕貴/かないみか/杉村理加/中博史

30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4

【このホコリの中に、人がいるんだ!】
 ジャングルヌールに住むゾウのホートンは、ふわふわ漂うホコリの中にダレダーレの国があり、小さな人たちが暮らしていることを知る。こんな不安定な状態では国が滅亡すると、ダレダーレの市長に頼まれて安全な場所を目指すホートン。だがジャングルの動物たちは小さな人の存在を、ダレダーレの人々は大きなゾウの存在を信じない。カンガルーや鳥のブラド、市議会議員たちの邪魔を乗り越えて、ホートンは安息の地へ辿り着けるのか?
(2008年 アメリカ アニメ)

【あくまでも、幼稚園児向け】
 製作は『ロボッツ』や『アイス・エイジ』シリーズのブルースカイ・スタジオ、監督はピクサー出身で『ロボッツ』にも携わったジミー・ヘイワードと、同じく『ロボッツ』のアートディレクターを務めたほか、なんと『モンティ・パイソン/人生狂騒曲』のヴィジュアルにもタッチしたというスティーヴ・マーティノ。

 で、『ロボッツ』は「仕草や表情のデフォルメ、光の使いかたや奥行きの出しかた、細かな揺れ・慣性の再現などアニメならではのワクワクがあふれているが、ストーリー的な深みはない」という作品だった。本作にも、そのまんま当てはまる感想だ。

 まずはオープニングでミクロの世界のスペクタクルを上手に表現。以後もスピーディかつコミカルに3DCGのキャラクターたちが動き回る。
 ジャングルヌールの森、そこに暮らすホートンら動物たちは、ぬめっ、ふわっ、とした柔らかな質感、曲線的な動き。橋を渡るホートンのプルプルが愛らしい。水しぶきや夕方の光など、自然の描写にも上手さがある。
 いっぽうダレダーレの国と市長をはじめとする住人たちは、ぴゅんっ、とんっ、と、やや鋭角的。ドアの形や真鍮のパイプ、ファンシーな色づかいなどデザインにもこだわり、議会のシールドや観測所へのジャンプなどカラクリもたっぷり。
 その描き分けが面白い。加えて、いずれの場所も奥行きと高さを意識した画面構成となっていて、舞台に立体感がある。かと思えばテレ東クオリティの2Dアニメで笑わせてみたり。全編に渡って楽しい作りだ。
 クラシック的なサントラで場面を支え、クライマックスでは音の視覚化にトライするなど、音楽もユニーク。音楽は『ハッピーフィート』『ハンコック』のジョン・パウエルだ。

 と、見た目の仕上がりはマズマズ。が、お話としてはあくまでもお子さま向け。っていうか幼稚園児向け。
 原作は『ハットしてキャット』のドクター・スース。あちらは「支離滅裂なファンタジー」だったけれど、こちらは「前提となるアイディアは楽しいが、トータルで見ると真っ当すぎるファンタジー」という感じ。

 印象的な言葉や展開は、それなりに用意されている。
 たとえば「目に見えないものはいないし、耳に聞こえないものは存在しない」という価値観に悩まされる、現代のガリレオたるホートンと市長の苦悩のシンクロ。いっぽう市長は空に助けを求め、ホートンは空から攻められるという逆転現象。そういう構造的な面白さはある。子どもの自立、「ちっちゃくても人は人」というグローバリズムなど、いかにも児童向けな教育的な配慮もこめられている。
 が、基本的には一本道。ふくらみ、枝葉、ちょっとした遊びはほとんど盛り込まれず、90分の短尺ということもあり「ホートンと市長がひたすらドタバタして、アっという間に、はい大団円」というだけの話。
 市長と長男ジョージョーの関係なんか、もう少し面白く描けたとも思うのだが、どうも全体に薄味だ。

 子どもが楽しんでいる後ろで、親もサラリと観る。それくらいのスタンスで触れる映画だろう。

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