スパイダーウィックの謎
監督:マーク・ウォーターズ
出演:フレディ・ハイモア/メアリー=ルイーズ・パーカー/ニック・ノルティ/サラ・ボルジャー/アンドリュー・マッカーシー/ジョアン・プロウライト/ジョーディ・ベナッター/デヴィッド・ストラザーン
声の出演:セス・ローゲン/マーティン・ショート
30点満点中16点=監3/話3/出3/芸3/技4
【その本は、絶対に守らなければならない】
アーサー・スパイダーウィック大大おじさんが生涯を費やして著した『妖精図鑑』。だが図鑑の秘密を手にして世界征服を目論むマルガラスから逃れるため、おじさんは姿を消した。80年後、ジャレッド少年はおじさんの屋敷で図鑑を発見する。彼のもとへ忍び寄る、マルガラスと部下ゴブリンたちの影。姉のマロリーも双子の弟サイモンも、初めはジャレッドの言葉を信じようとしなかったが、やがて屋敷は怪物たちに取り囲まれて……。
(2008年 アメリカ)
【ありがちファンタジー】
妙な研究と偶然の発見、信じようとしない家族と危機。そこに父の不在という要素を盛り込み、一介の少年が世界を救う“セカイ系”展開もプラス、さまざまな葛藤を乗り越えて成長する姿を描いて、実に盛りだくさん。
だが次のステップへ進もうとする年代に向けた物語としては、ありがちなフォーマット、よくある内容、寄せ集め的なストーリーといえるだろう。
いわば安心感のあるファンタジーを、手堅ぁく作ったのが本作。序盤が少し落ち着きすぎ、もっと派手にBGMを入れて楽しく撮ってもよかったとは思うけれど、全体としてはビュンビュンと軽快。
また、デジタル・メディア・プレーヤーの役割とか、フェンシングでもらったものであろうお姉ちゃんのメダル、鳥が主食のホグスクイールなど、細かな部分の辻褄あわせというか、お話の流れ・つながりに気を配ってある点も良心的。
特撮や美術関係も及第点、セットをしっかり作ったり、ハイモア君に2役を演じさせるなど、手間もかけられている。
同監督の『フォーチュン・クッキー』がそうだったように、必要なことを上手に盛り込みながら、コンパクトにまとめ、きっちり撮りあげた映画となっている。
ただ、まだまだ面白くできたのになぁという印象も否めない。
短気で激情的なジャレッド&理知的でペット好きなサイモンというキャラクター設定は、もっと密接に展開と結びつけられたはず。フェンシングの達人マロリーにも見せ場を増やしてあげるべきだったし、アーサーおじさんとルシンダおばさんの関係だって掘り下げられただろう。
パパとの再会シーンもアッサリしすぎ、子どもたちが主役だから仕方ないとしてもアクションはバリエーション不足だ。
全体に、流れのよさを重視したあまり、奥行きや各場面の強さに欠け、ちょっと浅いものになってしまっている。
まぁ子ども向け&ご家族連れ向けのファンタジー、あまり欲張る必要はないと考えたのかも知れないが、子ども向け&ご家族連れ向けだからこそ、キャラクターの適確な描き分けで個人を際立たせ、ドラマチックかつ爽快に仕上げてメッセージが強く迫るような作りが必要だったのではないか。
悪くはないが、深みの欠如にちょっと不満の残る作品だ。
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