バイオハザード:ディジェネレーション
監督:神谷誠
声の出演:ポール・メルシエ/アリソン・コート/ローラ・ベイリー/ミシェル・ラフ/マイケル・ソリッチ/クリスピン・フリーマン/ロジャー・クレイグ・スミス/スティーヴ・ブラム
30点満点中16点=監4/話2/出3/芸3/技4
【t-ウィルスの悲劇ふたたび】
ラクーンシティが焼き尽くされてから7年。だが人体改造用t-ウィルスは闇市場に流れ、バイオテロの脅威は消えぬまま。NGOテラセイブはウィルファーマ社の人体実験を告発、ラクーン事件の生き残りであるクレアもテラセイブの一員として活動していたが、折しもウィルファーマの関係者やクレアが降り立った空港で新たなバイオテロが発生する。クレアらの救助に向かうのは、同じくラクーンの生存者レオン。事件の陰にある陰謀とは?
(2008年 日本 アニメ)
【可能性と限界】
いろいろな意味で「ゲーム原作の3DCGアニメにおける可能性と限界を感じる作品」となっている。
実写的な作りは、なかなかのもの。フレームの外にもちゃんと空間が広がっていることを感じさせる人物の配置やカメラワークが楽しい。
もちろんホンモノの実写では、この手のアクションで真っ向からアメリカと勝負しても歯が立たない。予算、ノウハウの蓄積、遺伝子、文化、キャストとスタッフの層、もうあらゆる面で決定的な差がある。だが3DCGというフィールドでなら、その差は埋められるはず。実際、本作に安っぽさや野暮ったさは、あまり漂わない。
アニメ/特撮/ゲームの奔流に揉まれることで培われた日本ならではの表現技法やハリウッドの模倣を「和製アクション映画」へと落とし込むことにトライできる場として、3DCGアニメは大きな存在意義を持ち、その可能性を十分に体感できる仕上がりといえるだろう。
シワ、陽炎、水や炎の表現、まばたき、服の裾の揺れなど、CG自体の技術的・演出的な表現も、まずまず高いクォリティに思える。
いっぽうで「なんだかなぁ」という部分も多い。
たとえば、相変わらず人物の腕のプロポーションが不自然。というより、首や手首、肩の動きが人間離れしていて、関節の構造からして実際とコンピュータ内のアルゴリズムとでは大きく違っているんじゃないか、と思う。もっともこれは国内外の3DCGに共通する「?」であり、今後はこのあたりの解決が技術的な課題になるんだろう。
ストーリーの構成力も、イマイチ。誰が敵で、誰が死ぬのやら、次に何が起こるのか、予断を許さない空気を作れているのはいいのだけれど、「ゲームのパート2およびパート4の後日談」という位置づけのせいもあってか、1本のアクション映画として見せ切る完成度には至っていない。
空港を舞台とする序盤は怒涛の展開で面白いのだが、中盤からは一気に説明的になり、たるむ。展開も荒っぽい。何かが落ちてくるのを飛びのいてギリギリで避ける、というパターンばかり頻出するのもいただけない。
演出面では、研究所の構造や位置関係を上手く表現できていないことが気になったし、登場人物たちの芝居がクサイのも気障りだ。
って、なんか『ベクシル』でも同じような感想を書いた気がするな。
収穫は、意外とクレアが可愛く描けていた(ヴィジュアル的に)こと。これって2次元萌え? 3D萌え?
まぁそれはともかく、恐らくセールス的には厳しいカテゴリーなんだろうけれど「日本のクリエーターが、予算や人員の制限をある程度まで気にせずにスケールのある巨編を作り出せる」貴重な環境として、こうした3DCGアニメには発展していってもらいたいものである。
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