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2010/02/11

ストレンジャー・コール

監督:サイモン・ウェスト
出演:カミーラ・ベル/トミー・フラナガン/ケイティ・キャシディ/テッサ・トンプソン/ブライアン・ジェラティ/クラーク・グレッグ/デレク・デ・リント/ケイト・ジェニングス・グラント/デヴィッド・デンマン/アーサー・ヤング/マデリン・キャロル/スティーヴ・イースティン/ジョン・ボベック/ロザイン・エース・ハテム/ランス・ヘンリクセン(声)

30点満点中17点=監4/話2/出4/芸3/技4

【湖畔の邸宅、誰かが見ている】
 残忍な猟奇殺人の起こったバーフォードから程近い町、ファーンヒル。女子高生ジル・ジョンソンは、恋人のボビーや彼とキスをした友人ティファニーと喧嘩中だ。マンドラキス医師宅でベビーシッターを務めることになったジルのもとへ、15分置きにかかってくる不審な電話。さらには嵐、突然の来訪者、姿を消したメイド……。やがて電話の主=ストレンジャーがこちらを監視しているらしいと知ったジルは助けを呼ぼうとするのだが。
(2006年 アメリカ)

★ややネタバレを含みます★

【見た目はいいが】
 監督は『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』のサイモン・ウェスト。あちらは「絵作りはキッチリ。余分な描写を省いて山場が少ないくせにテンポよく進み、面白く見せようという工夫もある。が、浅くて薄い」という内容だった。今回も同様の仕上がりといえる。

 監視するようなアングルを短く畳み掛けたり、後ろからカメラがゆっくりと寄っていったり、背景に視線を誘うようなフレーミングだったり、いわばスリラーの王道的な作り。おどろおどろなBGMで不気味さやショックを高めていく手堅さもある。
 湖畔の邸宅、彫像、嵐など舞台設定も“それっぽい”し、黒猫、鳥、クラスメイト、喧嘩、自動照明、メイドなど撒き散らかした伏線をひとつずつ丁寧に拾い上げていく誠実さもある。
 評価したいのは「見せてわからせる」ことの徹底だ。冒頭の猟奇殺人を刑事のリアクションやいくつも運ばれる死体袋などで“描写”し、以後も下手に“説明”することを避けて、頭の悪さを感じさせない。
 全体として、この監督のスマートさや細かな部分への配慮がいい方向に出ているといえるだろう。

 惜しいのは、壮大なる省略が上手く面白さへと帰結していないこと。
 犯人の正体と侵入経路、かがり火の夜(ヴァルプルギスの夜?)、痴話喧嘩の行方、禁止された携帯電話&クルマの運転、登場しない長男、メイドの人物設定、騒ぐだけの子どもたち……など、理由・進行がきっちり描かれない要素や回収されない伏線などが山のようにある。
 それが「ムダを省いて潔く、シンプルな怖さへと収束している」のならいいのだが、そうはならず「浅くて薄い」にとどまってしまっているのだ。

 また、終始「ほーら、何かが起こるよー」という雰囲気で押し、登場人物たちも「何かが起こること前提」で行動したり怖がったりする。徐々に怖くなる雰囲気作りや「怖がる必然性」の醸成が十分でないため、単調・性急なイメージ。

 そんなわけで、見どころはカミーラ・ベル。キリっとした眉、垂れた目、厚くてイロっぽい唇。正直それほど演技が上手いわけではないと思うが、この可愛い顔が、雰囲気のある舞台・画面の中でひたすら怖がっているのを観るのは楽しい(?)。
 あとは「もう少しいいシナリオなら、もっと面白い映画を撮れそうだな」という、この監督への期待も少し抱かせる作品だろうか。

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