ヒットマン
監督:ザヴィエ・ジャン
出演:ティモシー・オリファント/ダグレイ・スコット/オルガ・キュリレンコ/ロバート・ネッパー/ウルリク・トムセン/ヘンリー・イアン・キュージック/ミカエル・オフェイ/ジェームズ・フォークナー
30点満点中16点=監3/話2/出4/芸3/技4
【組織に追われる暗殺者】
養成組織、通称“機関”で育てられた暗殺者は、頭にバーコードの刺青を持っていた。そのひとりエージェント47が新たに請け負った仕事は、ロシア大統領ベニコフの狙撃。難なく成功したと思われたが、ベニコフはなぜか存命、さらに自分を狙う殺し屋が組織から次々と送り込まれる。インターポールのウィッティア警部やロシア秘密警察に追われながら、ベニコフの情婦ニカとともに、エージェント47は真相究明と事態解決に奔走する。
(2007年 アメリカ/フランス)
【カッコよさ重視】
アヴェ・マリアの調べで暗殺者に内在する悲劇性を感じさせ、そこから重低音で本編、そして回想へ。なかなかスタイリッシュな作りだ。
以後も「いかにしてカッコよく見せるか」という意識が貫かれる。
この手の作品でハラハラを増加させるために不可欠な「狭い空間での肉弾戦」をきっちり入れ込むほか、アクションはバリエーション豊か。サイズが多彩なカットを細かくつなげ、グラスに氷を落とす動作ですらスタイリッシュに撮る。
出演陣も、なにげにカッコいい。というかハマっている。
主演ティモシー・オリファントは、華はないものの、鍛え上げられた肉体に包まれた、無機質で未成熟だが凄腕というキャラクターにピタリ。ダグレイ・スコットのICPO警部もそれっぽく、オルガ・キュリレンコの肢体と美貌は垂涎ものだ。
マルクロフのロバート・ネッパーも、Tバッグよりマトモで切れ味があって、でもTバッグなみに「ワル知恵はあるはずなのに上手くいかない」という役柄で、イメージ通り。あ、『LOST』のデズモンド(ヘンリー・イアン・キュージック)も出てるじゃん。
まぁ、見どころはそのあたり。
お話としては、ニカと47の関係が描き切れていなかったり、なぜかマルクロフがひとりで本部に残っていたり、強引さと性急さと都合のよさとがあふれている。「孤独なヒットマンが組織に裏切られ、そこにイロっぽい女性が絡んでくる」という展開だって、使い古されたフォーマットだろう。
とはいえ、昇る太陽と沈む太陽で1日の経過を見せたり、「家族もオレの手の内にあるぞ」ということをアヒルさんで示したり、ヒットマンどうしの微妙な関係や価値観の違いをサラリとにおわせたり、単に“見た目”のよさだけに囚われるのではなく、語り口の上手さも感じる。
ラストの「二度と会いたくない」というセリフにPART2への予感を抱かせたりして、小憎らしい。
ビデオゲームが原作だとか。そのソリッドな空気感を残し、余計なことは語ることなく、ストーリーの背景を上手く整理してまとめてある。
まぁ観終わった後に何かが残るなんてことは一切ないんだけれど、とりあえず1時間半を見せ切る“まあまあのアクション映画”には仕上がっているといえるだろう。
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