マイ・ドッグ・スキップ
監督:ジェイ・ラッセル
出演:フランキー・ムニッズ/ダイアン・レイン/ルーク・ウィルソン/ブラッドリー・コリエル/ディラン・ハニカット/コディ・リンレイ/ケイトリン・ワックス/ピーター・クロンビー/クリント・ハワード/スーザン・キャロル・デイヴィス/ナサニエル・リー・Jr/ウイリアム・バトラー/エンゾ&ムース/ケヴィン・ベーコン/ハリー・コニック・Jr
30点満点中17点=監3/話3/出4/芸4/技3
【僕の、いちばんの友だち】
1942年、ミシシッピの小さな町ヤズー。戦争で片脚を失った厳格な父ジャックと、おしゃべりで陽気な母エレンとともに暮らすウィリー・モリス少年は、クラスメイトにイジメられ、親友で町のヒーローでもあるディンクは出征して、独りぼっちの生活を送っていた。だが9歳の誕生日、彼は1匹の犬をプレゼントされる。スキップと名づけられたその犬とともに、ウィリーは友情や恋、命の尊さなど、大切なものを学んでいくのだった。
(2000年 アメリカ)
【甘さ・弱さはあるが】
監督は『ウォーター・ホース』のジェイ・ラッセル。あちらは、いい面や高いメッセージ性を持ちながら「甘さが残る、密度の薄い」映画だったが、本作にもまったく同様のことがいえる。
けっこう動くカメラ、見事に再現された40年代の南部の町、美しい音楽などは頑張っているけれど、いかにもお子様&ご家族連れ向けの、小さくておとなしい作風。
安っぽくはないし安心して観ていられるものの、全体的な作りはテレビサイズ、しかも散文的な印象を残す作りだ。
死亡フラグを立てまくっていたディンクの扱いには驚いたが、ほかにも、悪ガキ3人組との関係、野球とフットボール、酒の密売人、人種差別など、ふくらまし可能な要素はいろいろと散らばっているのに、どれも中途半端、エピソードが未整理なように思える。それが散文的・甘いというイメージにつながっているのだろう。
まぁ少年期というのはまさしく散文的な世界であるわけで、その点ではノスタルジックであると同時にリアルでもある(この手の映画には珍しく、稲光の後に遅れて雷鳴が聞こえるという、ちゃんとした処理がしてあった)。
それに、恐らくはこの監督のアイデンティティである“反戦”への思いも伝わってくるし、「人は傷を負うことで成長する」というテーマ性もまずまず表現できているといえる。
フランキー“マルコム”ムニッズは達者だし、ダイアン・レインは「可愛らしい奥さんで母」を美しく演じ、ひたすら「父」であるケヴィン・ベーコンもいい。もちろんスキップ役のエンゾ&ムースが見せる、ラブリーな表情と鍛えられた芝居も本作の魅力。
同じく「少年期を回想する」という体裁の『スタンド・バイ・ミー』などと比べるといかにも甘くて弱いが、いい意味で週末の午後的な映画、といったところではないだろうか。
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