1408号室
監督:ミカエル・ハフストローム
出演:ジョン・キューザック/メアリー・マコーマック/ジャスミン・ジェシカ・アンソニー/トニー・シャルーブ/レン・カリオウ/イシア・ホイットロック・Jr/アレクサンドラ・シルバー/サミュエル・L・ジャクソン
30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4
【その部屋に入ってはならない】
全米各地の心霊スポットに出向き、その様子を『幽霊ホテル10』などの著作としてまとめているオカルト作家マイク・エンズリン。彼のもとに「ドルフィン・ホテルの1408号室には泊まるな」という手紙が届く。実は幽霊の存在も神も信じない彼は、娘ケイティが死んだ地であるNYへ向かう。頑なに宿泊を拒否する支配人オリンを説き伏せ、過去56人もが命を落としているという1408号室に入った彼を、次々と悪夢が襲うのだった。
(2007年 アメリカ)
【撮りかたはいいんだけれど】
監督は『すべてはその朝始まった』のミカエル・ハフストロームだけに、意外と丁寧に、オモワセブリックに撮られている。
1408号室の鍵を支配人が取り出したりドアを開けるカットのように、俯瞰やマクロや広角など多彩な絵を細かくつないであって、見た目の雰囲気は上々。意味深にうつされるモノや人、鏡の向こうの影、突然のショッカーなどベタな展開を適時挟んで、テンポもいい。
キン○マがきゅぅっとなるような高所を舞台にしてオカルトとは別次元の恐怖を煽るのも気が利いているし、重低音やノイズとサントラの区別がつかない音作りなども面白い。
炎や洪水、1408号室のセットなど、このスケールの映画としては美術面も頑張っている。
全体として、真っ当で、安っぽくない仕上がりといえるだろう。
ただしストーリーは消化不良。
娘を亡くし、以来妻とも会っていない、霊の存在も神も信じない、というマイクのキャラクターを、もっと生かした展開というか、彼の心の動きをたっぷりと描き、その向こうに見えてくる「部屋の意思」に迫るべき物語のはずなのに、どうもそのあたりが曖昧。
まぁ「実は……」という第一のオチ(これは予想の範囲内)で終わらなかったのはいいとして、「死ねばすべてがお終い、ではない」という、まさに支配人オリンの価値観を肯定して、あらためて“死”というものと向かい合うマイクの姿を、もっとわかりやすく示してもよかったんじゃないか。
あるいは「2周目」でまったく違う反応を見せるマイク、なんていうパターンもありだったろう。
せっかくカーペンターズの『We've only just began』をフィーチャーしているんだから、その歌詞と出来事との接点もきっちり提示してほしかったところ。
撮りかたはいいんだけれど“訴えかけるパワー”にはちょっと欠ける映画である。
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