ハムナプトラ 失われた砂漠の都
監督:スティーヴン・ソマーズ
出演:ブレンダン・フレイザー/レイチェル・ワイズ/ジョン・ハナー/アーノルド・ヴォスルー/ケヴィン・J・オコナー/オデッド・フェール/ジョナサン・ハイド/エリック・アヴァリ/バーナード・フォックス/スティーヴン・ダンハム/コーリイ・ジョンソン/タック・ワトキンス/オミッド・ジャリリ/パトリシア・ヴェラスケス
30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4
【エジプトの呪い、復活!】
古代エジプト。王妃アナクスナムンと恋に落ちた司祭イムホテップは、衛兵によって生きたままハムナプトラの地に埋められた。3000年後、地図と“カギ”を手に、ならず者のオコーネル、彼を処刑から救った博物館職員のエヴリン、その兄ジョナサンらがハムナプトラを目指す。財宝を狙うアメリカ人グループ、遺跡を守る衛兵の末裔アーデス・ベイらがそこに絡み、そしてついに蘇ったイムホテップの呪いがエジプトを襲うのだった。
(1999年 アメリカ)
【20世紀最終盤に登場した基準作】
公開時のキャッチ・コピーは「世界を翔けるI.L.M. 最新SFX!」だったらしい。
なるほど確かに、煙、砂、虫、ミイラなどCGの表現力は上質。ただし残念ながらアカデミー賞視覚効果賞にはノミネートすらされなかった。なにしろこの年には『マトリックス』という化け物や『エピソードI』がいたので無理もないが、その2本や90年代中期以降のスピルバーグ作品、『タイタニック』などと並んで「特殊視覚効果の技術が完成され、娯楽作品の製作に占めるウエイトが飛躍的に高まった20世紀末」を代表する映画の1つだといえるだろう。
でもSFXだけが取り得じゃない。序盤から見せ場を連続させる(体感としては10分に1回のスペクタクル)という、現代風アクション・アドベンチャーの作りをいち早く取り入れているのも本作の肝。砂漠に作り上げられたセットも豪華、遺跡の空気感も上々だ。
いっぽう、冒頭の古代エジプト・シーンには「舞台劇っぽいところへカメラが乗り込む」という50年代歴史アクションの撮りかたを踏襲した雰囲気があり、レイ・ハリーハウゼンの遺伝子も感じさせる。生身のスタント/アクションも頑張っている。アクション・アドベンチャーの“伝統”が息づいているのだ。
キャラクターの置きかたにも、そういう気配がある。
ワイルドに二挺拳銃を振り回し、でも女性には弱い。古きよき主人公を、生真面目な青年か情けない男しかイメージのないブレンダン・フレイザーがマッチョに演じる。ちょっとトボケて勝ち気なヒロインを、これまた儚さや退廃感のあるレイチェル・ワイズがチャーミングに演じる。イムホテップのアーノルド・ヴォスルーも「不気味だけれど、倒せなくはなさそう」という半人間キャラクターにハマっている。
そして、マヌケでラッキーな兄、主人公を助ける謎めいた男、殺され要員の皆さんが、上手にストーリーを転がしていく。
で、どこからどう割っても純娯楽作、深みとかウラとかを一切考えずに楽しむべきアクション・ムービーが完成した。
逆にいえば「それ以上でも以下でもない」映画なのだが、ある意味、いろいろな面で本作を超えることが21世紀のSFXアクション・ムービーに課せられた使命、そう捉えることのできる“基準作”だといえるのではないだろうか。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント