ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲
監督:三池崇史
出演:哀川翔/仲里依紗/阿部力/井上正大/田中直樹/ガダルカナル・タカ/永野芽郁/稲生美紀/大橋沙代子/清水ゆう子/スザンヌ/中野英雄/六平直政/前田健/波岡一喜/生瀬勝久/水樹奈々(声の出演)
30点満点中12点=監2/話1/出3/芸3/技3
【白ゼブラvs黒ゼブラ】
ゼブラーマンとなって寄生体エイリアンを撃退、地球を守った小学校教諭の市川新市。その後、変身不能に陥った市川は、相原公蔵のある計画によって2025年に目覚めることとなる。そこは相原と娘のユイが支配し、警察による市民の虐殺がおこなわれているゼブラシティ。シンクロする市川とユイ、体内にエイリアンを潜ませる少女すみれ、そして相原の思惑……。すべての謎に決着をつけるため、市川はふたたびゼブラーマンとなる。
(2010年 日本)
【何かがやりたいってわけじゃないんだな】
ナマ里依紗を見るべく舞台挨拶つきの試写会へ。その仲さん、お疲れ気味なのだろうか、生真面目な哀川翔と阿部力、異様に頭の小さい井上正大、芸人だけあってサービス精神を感じさせる田中直樹やガダルカナル・タカらが示す明るさと比べると、かなり大人しい。コスチュームの大胆さと肌の白さばかりが目立つ。
で、本編の見どころも、仲さんのおっぱい。以上。
いや実際それだけの映画なんだけれど、まぁもうちょっと語ろうか。
演出は、三池崇史監督いつも通りのイメージ。どう撮れば人やモノがカッコよく見えるかを熟知した絵づくりで、「カットを割ってもいいよな」と思わせるシーンでも“もたせて”しまう。ただ、監督にとってもこの作品にとってもウリモノであるはずのアクションは、そこそこレベル。ワイヤーが「いかにもワイヤー臭い」ってのが残念。邦画特有のダラっとした間(ま)もいただけない。
あれもこれもと詰め込んでトッ散らかして、作品を自らコントに貶めて、一切のリアリティとまとまりとを排除していくのも三池監督ならではのやり口といえるだろう。
トッ散らかしているといえば、シナリオ。なんでもかんでも“説明”しちゃうとかキャラクターが描き切れていないとか、そういう細かなデキの悪さ以前に、そもそも映画のシナリオとして成立させる意識がこれっぽっちもなくて、「ここが、これこれこういう理由でダメ」と論じることすらバカバカしい、という感じ。中学生が酔っ払って書いた話と評すれば中学生が怒るだろう、みたいな。
前作は「漠然・雑然としていて、何をやろうとしたのか不明」という印象の作品だったけれど、今作を観ると「そうか。別に何かがやりたいってわけじゃないんだな」ということがわかる。0点でもいいくらいだ。
仲里依紗は、確かに肢体は眩しく、ゼブラクイーンのビデオクリップはカッコいいのだが、「新しいことにチャレンジしました」にとどまっている。魅力や演技力が炸裂しているかというとそうでもないのが無念。
残りの人たちも、適当にやっているだけ。ま、哀川翔は、あのアヒル声がヤクザやカッコイイ役よりこういうトボケた男のほうがあっているよなと感じさせたり、ガダルカナル・タカが情けない悪人に意外とハマっていたりと発見はある。でも、誰も“芝居”しているようには見えず、スタートからカットまで動きました、くらいのデキ。オンドゥル語も頻出だ。
永野芽郁ちゃん、ミニスカポリスの稲生美紀と大橋沙代子と清水ゆう子、脇役女性陣がそれぞれ可愛かったのが救いか。
ゼブラーマンとゼブラクイーンの造形、廃墟やスラムといった美術関係の仕事はマズマズ。池頼広(『FREEDOM』)の音楽も、各シーンを気持ちよく盛り上げていく。
CGは、トータルとしては安っぽいけれど、ゼブラクイーン誕生シーンやエイリアンの大暴れなど、けっこう頑張っている部分も。
と、まぁ語ることはできるし、もっと好意的に「人間って、白も黒も緑もぜんぶ飲み込んで、やっと1つの形になるんだ」とか解釈することも可能なんだけれど、たぶん、観た人のほとんどが「何も語らず、何かを理解・解釈しようとはせず、ただ早く忘れようとする」だろう。
だって、何かをやろうとして作られたものではない、トッ散らかっているコントなんだから。お金を払って観るべきもんじゃないし、少なくとも、何かを期待して観るような作品ではない。
そんなわけで、心に残るのは前述の通り仲さんのコスチューム(と歌)と、あとはせいぜい『STOP AIDS』のメッセージくらい、という映画である。
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コメント
今夜から新ドラマ始まりますね♪
投稿: 仲里依紗 | 2010/04/23 16:38