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2010/07/10

ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:ロン・パールマン/セルマ・ブレア/ダグ・ジョーンズ/ジョン・アレクサンダー/ジェームズ・ドッド/セス・マクファーレン(声)/ルーク・ゴス/アンナ・ウォルトン/ジェフリー・タンバー/ブライアン・スティール/ロイ・ドートリス/モンツェ・リーベ/ジョン・ハート

30点満点中18点=監4/話3/出3/芸4/技4

【悪魔の子vsエルフの王子】
 太古。侵略を続ける人間に対抗すべくエルフの王が作らせた“ゴールデン・アーミー”。後にエルフと人間は和解、軍団は封印されたが、ヌアダ王子は軍団を操る王冠の奪取を企んでいた。いっぽう悪魔の子=ヘルボーイとして生まれながら人間に育てられ、超常現象捜査防衛局(BPRD)で働くレッド。恋人リズとの仲やイヤミな上司マニング、人間からの蔑視などさまざまな問題と運命を抱えながら、レッドはヌアダ王子との決戦に挑む。
(2008年 アメリカ/ドイツ)

【密度感は相当だが、不満も残る】
 痛快だった第1作『ヘルボーイ』の感想をまとめると「気合の入った作りと丁寧な仕事。『ただのつなぎカットにしないぞ』という気概が全編からあふれ、『もっともっとすげー場面をたくさん観たい』という欲求に応える展開。コミック的、アニメ的で、いい意味でのバカっぽさもある」。

 続編である本作も、ほぼ同様の仕上がり。
 ディテールに対するコダワリと気合いの入れかたは相当のもので、人形アニメ風のオープニング、ガジェットや洋服のデザイン、奇っ怪なモンスターたち、市場の再現など、見た目の華々しさと密度は、かなり高い。
 ほぼすべてのカットでCGや合成が使われている(エイブが瞬きしたり)と思うのだが、それをそうと感じさせない節度というか「必要なところに必要な技術を注ぎ込むセンス」も持ち合わせているといえる。

 もちろん次から次へと見せ場の連続、派手なアクションのオンパレード、実に小気味いい。鳴り止むことのないサントラとSEで各場面を盛り上げる腕も冴えている。
 ただ派手なだけじゃなく、ヘルボーイの尻尾、ウィンクの飛び出す手など設定をきちんと生かすことを心得ており、下手にスローモーションに頼ることなくスピーディな肉弾戦を見せてくれるのも嬉しい部分。
 ラスト、ヘルボーイの背後からヌアダ王子が迫る場面を1カットで構成するなど「こう見せるべきなんだ!」「このシーンはこう作りたいんだ」という確信が、あらゆる部分にみなぎっている

 全体に、コミック的、アニメ的な絵づくりと展開に加えてゲーム的な雰囲気も加わって、いやはやホントに情報量と密度の高い作品だ。

 物語的な情報量もハンパではない。前作を観ていない人にも一応は基本設定や各キャラクターの立ち位置などを理解できるような配慮と展開を見せつつも、「人間のために働いているのに報われない」というフランケンシュタイン・ストーリー、ラブ、傲慢な人間とヘルボーイの運命、果ては都会なら必ず見かけるネコ婆さんの正体など、かなりの要素が詰め込まれている。
 だいたい、アメコミ風味のハイパー伝奇アクションにバリー・マニロウの「I CAN'T SMILE WITHOUT YOU」をマッチさせてしまうんだから、明らかに欲張りすぎの構成だろう。

 が、これだけのギッシリ&イロイロ感を誇りながら「文句なしの傑作とはいえない」というのも前作と同様だ。問題は、まさにそのギッシリ&イロイロ感にある。
 あまりに見た目と設定にこだわりすぎて、レッドが抱く孤独、エイブの儚い恋、リズの不安、ヌアラ王女の悲愴、クラウス博士の目指すものなど、1つ1つの要素がちゃんと掘り下げられていないという印象。
 また、ギッシリ&イロイロといっても、おおよそ想定の範囲内、すべてが新鮮だった前作からの飛躍とか上積みは希薄で、ワクワク感には乏しいといえる。
 複数の映画/エピソードからなる英雄譚シリーズとして見た場合、もう少し各編に“軸”となる心情を用意してもよかったんじゃないか。

 役者も、ロン・パールマンの安定感、ダグ・ジョーンズの達者ぶりには感心させられるものの、セルマ・ブレアの魅力・見せ場は前作よりパワーダウンしているように思えるし、ヌアラ王女役アンナ・ウォルトンもヒロインとしては描かれかた的にも見た目的にも存在感不足だ。

 作り・デキの面ではかなりのクォリティだと思うので、映画としての厚みやコーフンを、次回作以降には求めたいところである。

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