« ショーン・オブ・ザ・デッド | トップページ | マーゴット・ウェディング »

2010/07/06

シャッフル

監督:メナン・ヤポ
出演:サンドラ・ブロック/ジュリアン・マクマホン/コートニー・テイラー・バーネス/シャイアン・マクルーア/ニア・ロング/ケイト・ネリガン/アンバー・ヴァレッタ/マーク・マコーレイ/イレーヌ・ジグラー/ジュード・チコレッラ/ピーター・ストーメア

30点満点中17点=監4/話3/出3/芸4/技3

【バラバラにされた1週間】
 夫のジム、長女ブリジッド、次女メガンと幸せに暮らすリンダ。だがある木曜日、出張中のジムが事故死したと知らされる。哀しみに打ちひしがれるリンダだったが、翌朝起きるとジムは生きていた。その翌日にはジムは確かに死んでおり葬式までおこなわれ、リンダは精神科医によって拘束される。さらに次の日、またジムの姿が……。バラバラになった1週間を過ごすリンダは、さまざまなピースをつなぎ合わせて行動を起こすのだが。
(2007年 アメリカ)

【丁寧に作られた時制いじくり映画】
 一方向遡り型の『メメント』や同時多視点型の『11:14』『運命じゃない人』『バンテージ・ポイント』など、時制いじくり映画は過去にもあった。それを主人公が体験・認識しているという作りの作品も、タイムトラベルもの、同じ1日繰り返し型など、いくつか観た記憶がある。

 だからアイディアとしてはそう真新しいものではないはずだが、体験・認識の表現が、いい味を出している。
 あれは何かしら? そうだわ確か……という彼女の感じる「?!」と、観客の「?!」がシンクロするような撮りかた。すっと寄っていくカメラが、リンダの不安や疑惑をあぶり出し、観る側の「ふむふむ」を誘う。いくつかの回想やフラッシュバックも、彼女とこちらが「何がどうなっているのかを頭の中で再構築する」のを助ける。
 いかにもなピアノの旋律と低音でサスペンスを盛り上げたり、玄関先に置かれたフラフープや電話に貼られたシールなど生活感たっぷりの空間再現など音楽・美術関係の仕事も上質。

 ロス医師役のピーター・ストーメアは何をやっても怪しいのでひとまず置いといて、主人公のサンドラ・ブロックが、しっかりと「この状況に置かれた妻」を演じ、しかも「そういう人を周囲が観るとどう感じるか」まで考慮している気配もあって、なかなかのお芝居。水曜へと向かう前夜の、決意に満ちた顔つきがいい。ふたりの娘、コートニー・テイラー・バーネスちゃんとシャイアン・マクルーアちゃんも可愛い。

 全体として、思ったより丁寧に、きっちり作られているという印象だ。

 ストーリー的にも、そりゃあ確かに「時間がバラバラになっていると気づいた時点で、もっと早くいろいろと手を打てよリンダ」というツッコミは可能だけれど、それに対するエクスキューズとして“夫への不信感”が用意されているし、先の展開も少し読めるものの、オチとしては納得。
 また魔女伝説の真相や「人がパニック・混乱を起こす裏では、こういうことが起こっているのか」、「いや逆に、パニック・混乱をきたすとモノゴトがこういうふうに感じられるのか」という思索も可能となっていて、まずまずのまとまりといえる。

 ただ、誰もが気になるのは「冒頭=木曜日時点で、火曜日についたはずのブリジッドの顔の傷がない」という不整合。
 これを不整合としないために「出来事は対応次第で修正可能」と思わせる展開を用意したり、あるいは「同じ体験をした人が登場し、リンダに対して『何をしたってムダ』と警告する」なんて場面を作ったほうが、クライマックスも生きてくるんじゃないだろうか。
 ああ、でも下手をすると収拾がつかなくなる恐れもあるか。それに「確定したはずの出来事を変える」という方向でお話を作る限り、どうやったって『デッド・ゾーン』とか『LOST』みたいになっちゃって、挙げ句にその2つはとうてい超えられない、という危険も。

 まぁ、時制いじくり映画のニュー・バリエーションとして立派に役目をまっとうしているとはいえる。けれど、もっともっと面白く作れた可能性もあった作品、といったところだろう。

|

« ショーン・オブ・ザ・デッド | トップページ | マーゴット・ウェディング »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42478/48810375

この記事へのトラックバック一覧です: シャッフル:

« ショーン・オブ・ザ・デッド | トップページ | マーゴット・ウェディング »