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2010/07/29

トイ・ストーリー2

監督:ジョン・ラセター
声の出演:トム・ハンクス/ティム・アレン/ジョーン・キューザック/ケルシー・グラマー/ドン・リックルズ/ジム・ヴァーニー/ウォーレス・ショーン/ジョン・ラッツェンバーガー/アニー・ポッツ/ウェイン・ナイト/ジョン・モリス/ローリー・メトカーフ/エステル・ハリス/ジョディ・ベンソン/ジョー・ランフト/アンドリュー・スタントン/R・リー・アーメイ/ジョナサン・ハリス/ジェフ・ピジョン
吹き替え:唐沢寿明/所ジョージ/日下由美/小林修/名古屋章/永井一郎/三ツ矢雄二/大塚周夫/戸田恵子/樋浦勉/北尾亘/小宮和枝/楠トシエ/高橋理恵子/佐古正人/佐々木梅治/谷口節/桜井敏治

30点満点中20点=監4/話4/出4/芸4/技4

【さらわれたウッディを救い出せ!】
 アンディの家のヤードセールで売られることになった歌うペンギン、ウィージー。右腕の“ほつれ”がありながらも何とかウィージー救出に成功したウッディだったが、彼自身が客の男に連れ去られてしまう。誘拐犯の正体はおもちゃ屋のアル。『ウッディのラウンドアップ』シリーズをまとめて日本の博物館へ売りつけようとしているのだ。さらわれたウッディを奪還するため、バズ、ポテト・ヘッド、スリンキー、レックス、ハムが出発する!
(1999年 アメリカ)

★ネタバレを含みます★

【3DCGアニメのパパ?】
 ウッディ誕生の経緯、彼の周辺キャラクター/関連グッズの存在、プレミア化、新製品、大量に並べられたバズとそこから派生するハプニングなど、相変わらず「おもちゃが主人公なら、こういう展開が考えられる」という意識のもとにストーリーと演出が練られていて、正当な続編という感想を抱かせる。
 おもちゃは壊れるもの、いつかは捨てられるものという宿命や「おもちゃとしての幸せ」をダイレクトにストーリーへ反映させて、まさに『トイ・ストーリー』というタイトル通りの内容だ。

 ただ、やはり「おもちゃは大切に」と説教臭く演説するのではなく、あくまでおもちゃたちや人間&おもちゃの関係に自然と感情移入させる方向で作られているのも前作と同じ。
 とりわけベッドの下にジェシーが取り残されるシーンは、彼女の持ち主の成長をセリフ抜きで表現する絶妙の演出によって、素晴らしく切ない(あとウッディの靴の裏の文字が消される場面は、いっしょに観ていた妻に「なんて顔してるの」と呆れられた。それくらい自分的にはショッキングなシーンだったようだ)。

 シャボン玉やガラス、塗料のテカリ表現など新たな試みにチャレンジし、夕焼けや空港内などライティングにもさらに磨きがかかって、3DCGとして順調に進化、着実にステップアップしたという印象も強い。
 アルの登場によって「滑らかな人間の動き」に自信を持つようになったこともうかがわせるし、TV内ウッディのあやつり人形っぽさ、気取った歩きかたなども極上だ。

 世界の中でキャラクターが動き、それを多彩なサイズと縦横無尽のカメラワークで撮っていく作りも、コメディ+アドベンチャーの疾走感にホロリを混ぜる展開も前作同様だが、それが“こなれてきた”という感じもある。
 3D的・実写的な見せかたは前作ほどあからさまではなくナチュラルになったと思えるし、バズたちが道路を渡る場面は前作のカーチェイス以上にスリリング。いきなりクライマックス級のアクションで始めたり、それが実はTVゲームだったり、そのゲームの攻略法/ひとりでは開けられない自動ドア/転がるガムボールなど前のシーンとのつながりが重視された展開など、お話の進めかたもナチュラルになっている。
 また前作からすでに「これは映画だ」ということをウッディが認識していたり、「主演:ウッディ&バズ」という雰囲気が漂ったりしていたが、今回そのニュアンスがNG集の挿入によってさらに増している。

 日本の博物館というキーワードの登場で作品世界とわれわれ観客との“地続き感”も強まったといえるだろう。
 バズとパパによるキャッチボールなんか江口寿志的な(つまりは日本のギャグマンガ的な)倒錯を感じるし、日本で人気だからグリーン・エイリアンの登場を増やしたなんていう裏話を聞くと「うんうん、出しゃばらないけれど印象に残り、『命の恩人。感謝永遠に』なんて健気で人懐っこいこいつらのテイスト、日本人は好きだよ」と思ったりして。

 そして「好き勝手やってやがんなぁ」の楽しさ。今回は『2001年宇宙の旅』に『ジュラシック・パーク』ですか。他にも隠しネタは数知れず。プロスペクターに向かってフラッシュ焚くなんてもう卒倒させられますわ。
 で、大爆笑の『エピソードV』。いや、これって単なるパロディに思えないのだ。

 救出アドベンチャーの作劇は『ファインディング・ニモ』に、クライマックスとなる空港でのアクションは『モンスターズ・インク』に、よりパワーアップした形で受け継がれている。また本作の成功によって3DCGアニメが一般化した事実や、後の3DCG映画のクォリティに“基準”を与えた意義も考えざるを得ない。
 つまり、この『トイ・ストーリー』シリーズ自体が、以降のピクサー作品や多くのフォロワーへ向けて「I am your father」と語りかけているような気がしてならないのである。

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