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2010/08/28

バック・トゥ・ザ・フューチャー

監督:ロバート・ゼメキス
出演:マイケル・J・フォックス/クリストファー・ロイド/リー・トンプソン/クリスピン・グローヴァー/トーマス・F・ウィルソン/クローディア・ウェルズ/マーク・マクルーア/ウェンディ・ジョー・スパーバー/ジョージ・ディセンゾ/フランシス・リー・マッケイン/ジェームズ・トルカン/ハリー・ウォーターズ・Jr/ビリー・ゼイン/ドナルド・フーリラヴ/ヒューイ・ルイス

30点満点中20点=監4/話5/出4/芸4/技3

【過去に戻った高校生、無事に現代へと戻れるか?】
 デロリアンDMC-12を改造し、クルマ型タイムマシンを作り上げた科学者ドクは、その実験中、テロリストの銃弾に倒れる。助手で高校生のマーティはかろうじて窮地を脱したものの、たどり着いたのは30年前、両親が高校生だった時代。ドクを探し当ててもとの時代に戻ろうとするマーティだったが、母ロレインが彼にひと目惚れしてしまう。このままでは父ジョージと母は結ばれず、自分は生まれない! 歴史を修復して帰還できるのか?
(1985年 アメリカ)

【タイムトラベルもののエバーグリーン】
 もし自分がタイムマシンを手にしたら? まぁ未来に跳んでJリーグの結果を調査、現在へ戻ってtotoで大金を手にするってのが現実的な使用法だろうか。卑怯者ですいません。
 だって、過去に遡ってすでに起こった出来事を捻じ曲げ、現在で変化を確認するってほうが怖いでしょう。
 その歴史改変に挑んだのが本作。

 ただし、当事者のマーティは“やむなく”その行為におよぶ。いわば巻き込まれ型のストーリー。『ドラえもん』でも『サマータイムマシン・ブルース』でも、本家本元の『タイムマシン』でも、ほとんどのタイムトラベルものが能動的に時間を跳んでいるのに対し、こちらは受動的だ。
 ひょっとすると、その設定こそが大きな発明かも知れない。「思いもかけずにこうなった」「ともかく何とかしなくっちゃ」というマーティの思いが数々のハプニングへとつながって、おかげでこんなに楽しい映画が出来上がったのだから。

 防護服にチラシ、ギターに檻の中のおじさんにスケートボード……。とてつもない量の伏線が撒き散らされる。
 レーガン大統領にアフリカ系人種の社会的地位、ロックンロールやダウンベストやダース・ベイダーなど、80年代と50年代をまたぐ価値観・世相・出来事の差もふんだんに盛り込まれる。
 30年前という“手の届く過去”を舞台とすることで明るいタッチの懐古的青春ストーリーとしての面白味が生まれ、落雷が10時4分に発生することでドクはマーティの警告を聞くことができなくなる。そうした、物語をユーモラス&円滑&スリリングに進めるための配慮も尽きない。

 とにかく、詰め込めるだけのアイディアを詰め込み、破綻なく“タイムトラベル・サスペンス・青春コメディ”としてまとめてみせた技が見事。さぞかし楽しみながらシナリオを作ったんだろうなぁと、こちらまで楽しい気分になってくる。

 サントラの数や画角のバリエーションやカット数が足りなかったり、音声の鮮度が悪かったり、特殊効果が安っぽかったりなど、やや古めかしさがあることは否めないものの、演出そのものは水準以上だろう。
 そこが発明家の家であることをほぼ1カットで示すオープニングが上質。田舎の小都市の様子、マーティの立ち位置、ジョージとビフの関係などをサラサラと示しながら、各伏線を説明的にならないようポンポンと置いていく流れのよさもある。
 マーティの最初のタイムトラベルでは、一気に88マイルを出すかと見せかけてUターン。この“じらし”が心憎い。クライマックスでも、度重なるハプニングを抜群のカットワークで見せて、結果はわかっているのにハラハラさせてくれる。

 マイケル・J・フォックスが好演。巻き込まれ型主人公のジタバタを、さりげないインテリジェンス(これ重要。マーティがただアタフタするだけのバカだったら、こんなに面白い映画にはならなかっただろう)とともに演じ切る。クリストファー・ロイドの怪演も見事だ。
 他のキャストには正直いって華がないけれど(ビフ=トーマス・F・ウィルソンの憎々しさは光っているが)、それによってマーティとドクにスポットが集中、空気が散漫になることを防いでいる。

 50年代の街並の再現も鮮やかだが、美術関係では何といってもデロリアンが素晴らしい。「映画に登場するクルマといえば?」と聞かれれば、チキチキバンバンよりボンドカーよりバット・モービルより、とにかくデロリアンでしょっていうくらいの存在感。
 なんでも当初は冷蔵庫型タイムマシンの予定だったらしいが、ホント、クルマでよかった。またデロリアンへの変更後も、クライマックスの舞台は核実験場になるはずだったんだとか。これも時計塔でホントによかった。このあたり、面白い映画は企画や撮影を進めながらスパイラル的にどんどん面白くなっていくものなんだなぁと感慨深い裏話だ。

 そんなワケで、タイムトラベルものとして問答無用のエバーグリーン、作られてから25年経ったいまでもワクワクさせてくれる大傑作である。

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