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2010/09/18

LOOK

監督:アダム・リフキン
出演:ジェイミー・マクシェーン/キンバリー・クイン/スペンサー・レッドフォード/ヘザー・ホーガン/ヘイズ・マッカーサー/ニッチェル・ハインズ/サラ・ジェーン・モリス/ポール・シャックマン/ジェニファー・フォンテイン/ベイリー・マディソン/クリス・ウィリアムズ/ベン・ウェバー/ジュゼッペ・アンドリュース/マイルズ・ドゥーガル/ヘイリー・ハドソン/リス・コイロ/セバスチャン・フェルドマン

30点満点中16点=監4/話3/出3/芸3/技3

【カメラが捉えた、男女の生態】
 アメリカ全土に設置された監視カメラは3000万台以上。毎週40億時間以上の映像が記録され、平均的なアメリカ人は1日に200回撮影されているという……。ここLAで、ショッピング・モール、オフィス、ガソリンスタンドや学校、一般家庭の中にまで設置された監視カメラの映像から、不真面目な店員、同僚に虐げられる保険会社の社員、禁断の逢瀬を重ねる弁護士、妻思いの教師と彼を誘惑する女子高生らの生態が明らかとなっていく。
(2007年 アメリカ)

★ややネタバレを含みます★

【監視カメラは、守ってなどくれない】
 いわゆるフェイク・ドキュメンタリー。冒頭で述べられる全米の監視カメラの台数や撮影時間のデータが事実とするなら「あちこちに設置された監視カメラの映像から特定の人物だけを抜き出してつなげれば、何らかのストーリーが浮かび上がってくることもあるんじゃないか?」なんて、なるほど誰かが思いつきそうなアイディアだ。

 そういえば「カメラが捉えた決定的瞬間」って、圧倒的にアメリカの事件が多いという印象。やはり、それだけ“すべての瞬間が記録されている”ということであり、それを受け入れている国ということでもあるんだろう。作られるべくして作られた映画、といえるのかも知れない。

 監督・脚本はアダム・リフキン。どっかで聞いた名前だと思ったら、あの傑作バカ・コメディ『マウス・ハント』のシナリオ・ライターだ。
 あちらには“躁”が満ち、ブラックも詰まっていたけれど、こちらにもやっぱり“躁”が漂う。だって「他人の不幸や悪だくみを覗き見る」のって、人をハイにさせるものだから。

 それにしても、人間ってのはどうしようもない生き物だな。見られていなければやりたい放題。まぁ「ヤることしか頭にない」ってのはアメリカ人だけかも知れないが、真面目に仕事をしていないヤツや隠し事や犯罪の、なんと多いことか。
 もちろん、ただバカどもの様子をつなげるだけじゃなくって、温和な顔の裏に隠された本性、刹那的な幼さ、呆れるほどいい加減な生きざま、弱さ、当然のように疑惑の目で他人を見る価値観……といった、現代社会が抱える病も炙り出していく。ブラックでシニカルな視線も生きているわけだ。

 中でも印象に残るのは「ほんの1回の、しかも本人にはほとんど非のない(少なくとも観ている者にはそう感じられる)過ちで人生を台無しにしてしまう教師」と「家の中にベビーシッター監視用の隠しカメラを仕掛けたが、もっと注意すべきことがあった弁護士夫婦」。
 ATMに代表されるように、本来は監視カメラって防犯=弱い人たちを守るという役目を負っているはず。それが機能していないことと、むしろすべての人を貶めるものとして存在する現実を、監督は描きたかったのだろう。
 また「すべてのことは見られている」という事実の向こうにある「見られていなければ、なかったのと同じ」という乱暴な価値観も感じ取れる。

 やや作り物っぽさが匂うものの、早送りや「監視カメラで撮られた映像がテレビで流される」などの工夫もあり、全体として軽快、興味深い題材ともあいまって、なかなか面白く観られる。

 惜しむらくは、捉えられるのが悪事や失敗や猥褻な行為などネガティヴなものばかりだったこと。たとえば「いつもこの道を綺麗にしてくれているのは実はあの人」といった温かなエピソードもあれば、より強く「守ってくれるはずの映像によって身を滅ぼしてしまう皮肉」というテーマが印象づけられたのではないだろうか。

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