« 恋愛上手になるために | トップページ | 最高のともだち »

2010/09/22

岸辺のふたり

監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット

30点満点中16点=監4/話2/出3/芸4/技3

【父の姿を待ち続けて幾星霜】
 岸辺の丘、自転車で走るのは父親と幼い娘。だが父親は、岸に泊めてあった小さなボートに乗って海の彼方へと消える。以来、娘は毎日のようにその場所へ通い、父が戻って来るのを待ち続けるが……。
(2000年 イギリス/ベルギー/オランダ アニメ)

【悪くはないが好みじゃないかも】
 2000年のオスカー(短編アニメ賞)受賞作。
 モノトーン&セピアの世界に、くっきりと光と影が浮かび上がる。風も感じることができるし、波は静かにうねり、雪は温かく降り積もる。
 岸辺の様子を横(後ろ)から望遠で捉えたようなアングルが多いのだが、それでも平面的にならず、奥行きを感じさせる描きかたが見事。自転車を漕ぐ際の力の加減が再現されているなど、動きにリアリティもある。

 と、美術面での仕事は素晴らしく、メランコリックな音楽も作品世界に馴染んでいるし、たぶん判断しにくい技法も多種凝らされているのだろうと思う。見た目の完成度は、なかなかに高い。

 ただ“絵本/コミック/ストーリーのある絵画”を美しく動かしました的な作りで、エンターテインメント側からアプローチしたのではなくアートとしての思想が底辺にある仕上がり。それが悪いというわけではないのだけれど、甘ぁくまとめたストーリーも含めて、自分好みの作品とはいえない。

 観る、あるいは楽しむ作品ではなく、壁に飾って味わいたい作品、といえるかも知れない。この絵に似合う部屋を持たないし、もし飾るなら別の絵にするだろう。まぁ本棚にこの本があってもいいかな、というあたりが、正直な感想である。

|

« 恋愛上手になるために | トップページ | 最高のともだち »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 岸辺のふたり:

« 恋愛上手になるために | トップページ | 最高のともだち »