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2010/10/18

BLOOD THE LAST VAMPIRE

監督:北久保弘之
声の出演:工藤夕貴/中村佐恵美/ジョー・ロマーサ/レベッカ・フォースダット/スチュアート・ロビンソン/小家山晃/トム・ファーン

30点満点中16点=監3/話3/出2/芸4/技4

【オニどもを斬り倒す少女】
 人の世にまぎれ、生き血を喰らうオニども。大量出血するほどの傷を一撃で与えないと死なない、そんな闇の存在を斬り倒し続けるのは、日本刀を振りかざす少女・小夜だ。ベトナム戦争のさなか、米軍の横田基地で不審死が続出、付近にオニが潜伏していることを知ったデイヴィッドら“組織”は、小夜をアメリカン・スクールへと送り込む。偶然オニを目撃した保健医を守りながら、小夜の戦いは今夜も続くのだった。
(2000年 日本 アニメ)

【カッコよさと限界との同居】
 製作されてすぐに観たはずだが「カッコよさ重視」というイメージ以外の細かなところは忘れていた。

 その“カッコよさ”のもととなっているものは、1つには画面。CGを駆使しつつ、立体的・実写的なレイアウトが採り入れられている。海外をも視野に入れたキャラクター/クリーチャーのデザイン、紅くくすんだ色彩設計など、見た目のデキは全体に良質といえるだろう。
 メリハリの効いたサウンドトラックや音響も上々だ。

 ストーリーは、細かな説明をいっさい省き、長く連なる「人vsオニ(バンパイア)の争い」の中の1エピソードを切り取ったような体裁で、50分にも満たない短尺。そのコンパクトさ・シャープさも、COOLなイメージへとつながっているように思える。

 ただそれだけに、深みに欠けるのは確か。小夜のバックグラウンドや組織の内情、オニの生態といった各種設定を“読む”楽しみはあるものの、それらを“読み解く”ほど十分な情報は盛り込まれていない。
 短編の割にテンポはよくない。人の動きはニョッタリとしているし、全体的な間(ま)も延び気味だ。その独特の間合いがアクション・シーンのスピード感を引き立たせるのならいいのだけれど、肝心のアクションも「ザっと斬り捨ててから、その相手が地面に倒れるまでの時間」が変に長かったりして違和感が残る。

 また、工藤夕貴は頑張っていると思うのだが、その他の外国人キャストのセリフ回しが、やっぱり間延び気味。作画的な芝居もクサイというか、じっと立ったまま乏しいアクションで喋る“アニメの限界”から脱し切れていない印象だ。

 金と手間ひまをかければもっともっと面白いモノになる(なった)可能性は大きいはずだが、大きなメディアミックス・プロジェクトの中の小さな企画としては、まずはこの程度でよし、といったところだろうか。

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