ドロップ
監督:品川ヒロシ
出演:成宮寛貴/水嶋ヒロ/本仮屋ユイカ/波岡一喜/若月徹/綾部祐二/坂本雅仁/増田修一朗/住谷正樹/SUGURU/宮川大輔/藤本敏史/河本準一/村上知子/坂井真紀/益岡徹/田島令子/遠藤憲一/哀川翔/上地雄輔/中越典子
30点満点中14点=監3/話1/出4/芸3/技3
【喧嘩ばかりの日々】
喧嘩は強くないが口は達者なヒロシ。私立中学に通っていたものの「ナメられたくないから」と不良に憧れ、髪を赤く染めて公立の狛江北中へと転校する。初日からボコられるものの、その相手である達也、森木、ワン公、ルパンという“学校に4人しかいないヤンキー”とつるむ日々が始まった。達也の彼女であるみゆきへの淡い想い、兄貴分であるヒデの励まし、調布南中の赤城や加藤との対決……。やがて彼にも人生の分岐点が訪れる。
(2008年 日本)
【ネタ的&中学生レベル】
まぁ話の内容をどうのこうのいう映画ではない。
コイツとコイツを仲良くさせてみよう、ここでこの人を死なせとけば感動するでしょ、という安直な展開。説明過多かつリアリティ不足で喋りすぎるセリフ。掘り下げられない人物像……。
スタートからラストまでの流れ・カタチとしては一応のまとまりを見せるし、コント的なノリで笑える場面もあるものの、深みや面白味はゼロだ。
登場人物たちは中学生であるわけだが、ストーリー/シナリオも中学生レベルといえるだろう。恐らく品川監督の自伝的要素を多分に含んでおり、それを増幅・取捨・脚色しているはずだが、本人だからこその遠慮や錯覚、ノスタルジーがあって、それが邪魔をしているのかも知れない。
ただ、TVサイズのスケールと低予算ながら「ここは、こうしたい」という意志を感じられる作りにはなっている。
オープニングの真上からのカット、意識的に人物をハミ出させるフレーミング、長回しでも単調にならないよう寄っていく配慮など、1カットずつに「カッコよくしたいな」という狙いがあるように思える。映画的な見せかたを取り入れたコミックからフィードバックして絵を作る、というのもユニークな試みだろう。
喧嘩のシーンでは、たぶん細かくコマを落としてスピード感を出しているはず。そのアイディアも面白い。
キャストは「お前らのどこが中学生や」というところも含めて大部分がネタ的で、水嶋ヒロや上地雄輔の芝居はアヤシイ限りだ。
だが、それぞれのユーモラスなキャラクターに、成宮寛貴、波岡一喜、若月徹、綾部祐二、坂本雅仁、増田修一朗らは結構マッチ。とりわけ住谷正樹=レイザーラモンHGがハマっている。遠藤憲一は「カタチチ」発言で笑わせてくれるし、本仮屋ユイカにはノーブルな可愛さがある。ネタ配役の中では藤本敏史の調子の乗りかたが秀逸だ。
音楽はやや安っぽく、原作コミック版を売りたい気持ちも見えて格のある作品ではないけれど、不良中学生を描いたネタ的&中学生レベル&低予算の映画としては頑張ってるんじゃないですか、真っ当なシナリオを与えればもっといいものを撮れるんじゃないですか、といったところだろう。
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