イエスマン“YES”は人生のパスワード
監督:ペイトン・リード
出演:ジム・キャリー/ズーイー・デシャネル/ブラッドリー・クーパー/ジョン・マイケル・ヒギンズ/リス・ダービー/ダニー・マスターソン/フィオヌラ・フラナガン/サシャ・アレクサンダー/モリー・シムズ/ブレント・ブリスコー/ジョン・コスラン・Jr/アンナ・カージャ/ショーン・オブライアン/アーロン・タカハシ/ヴィヴィアン・バン/マット・ミラー/ルイス・ガスマン/テレンス・スタンプ
30点満点中17点=監4/話4/出3/芸3/技3
【人生を変えるひと言、それはイエス!】
ダメ。無理。イヤだ。ノー。3年前の離婚以来、心を閉ざしている銀行員カール・アレン。親友ピーターやニックからの誘いも断ってばかりだ。さすがに孤独死が怖くなった彼は、テレンスという老人が主宰するあるセミナーに参加、人生を変えるため「何事に対しても『イエス』とこたえる」という誓いを立てた。ホームレスからの頼みにも融資の申し込みにも、とにかくイエス。おかげでアリソンという素敵な女性にも巡り会えたのだが……。
(2008年 アメリカ/オーストラリア)
【お約束コメディ、プラスアルファの楽しさ】
ジム・キャリーは、いつものオーバーなコメディ演技。臭いんだけれど、本作に限っては「ありえない設定・展開を現実社会と結びつける」機能をマズマズ果たしている。
ズーイー・デシャネルは、実に魅力的。こちらも「ありえない設定・誓いの中にいる、一種の魔力を持った女性」という雰囲気に満ちていて、本作における大きなチャームポイントとなっている。
そんなふたりが振り回される純コメディ。
滑って転ぶなど細かくてベタな笑いはほどほどに、この設定から誰もが期待する「何でもイエスとこたえることで起こるラッキーとトラブル」を、いい濃度、いいバランスで連ねていく。
それらの出来事を単に羅列するだけじゃなく、たがいに関連づけて、1つのキッカケで他の道が開けること、確かに人生が充実していくこと、と同時に損や悩みも抱えてしまうことを、テンポよく描く。
上手いのは、要所でカールと観客とを一体化させる点。セミナーでは観る者を音で囲い込むようにして、その場に居合わせている気分にさせる(参加者たちが、みんなどことなく冴えない風貌ってのも楽しい)。
自殺志願者を救出する場面も、カールと野次馬と観ている人の心がシンクロするような撮りかたで「自分の意識次第で、僕らにもいろんなことができるかも知れない」と思わせる。
サウンドトラックも多彩で、ストーリーと展開を助けている。
監督ペイトン・リードは『恋は邪魔者』の人。どうやら「特殊な価値観と恋愛との鬩ぎ合い」というシチュエーション・コメディを、軽快に作ることが得意な人のようだ。
ま、ジム・キャリーらしく、軽くてご都合主義で“お約束”だらけの作品ではあるけれど、罪がなく、誠実で、ただドタバタするだけのバカ映画にならず、上手にまとめてある。思っていたより楽しい映画だ。
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