ミラーズ
監督:アレクサンドル・アジャ
出演:キーファー・サザーランド/ポーラ・パットン/キャメロン・ボイス/エリカ・グリュック/エイミー・スマート/メアリー・ベス・ペイル/ジョン・シュラプネル/ジェイソン・フレミング/ティム・アハーン/ジュリアン・グローヴァー/ジョシュ・コール/エズラ・バジントン/アイダ・ドイナ/ダーレン・ケント/ロズ・マカッチョン/アディナ・ラピテニュ
30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4
【鏡の奥に潜むものとは?】
病院を改築して建てられたデパート「メイフラワー」は数年前の火災で大勢が犠牲となり、いまは廃墟と化している。その夜警として働くことになった元警官のベン・カーソンは、誤って同僚を射殺し停職中、酒に溺れ、妻エイミー、娘デイジー、息子マイケルらと離れて暮らしていた。やがてデパートで彼を襲う鏡の中の“何か”。火事の真相、前任者の不思議な死、浮かび上がる「エシカー」の文字……。いったい何が起こっているのか?
(2008年 アメリカ/ルーマニア)
【デキはマズマズも、強く光る点はナシ】
ギクっとさせてグっと惹きつけるアヴァンタイトルから、鏡像をモチーフとしたオープニングクレジットと、そこに乗っかる印象的なメインテーマ。滑り出しは上質だ。
以後も、青暗い画面、突然のSEによるショッカー演出、テンポのよさ、そして血みどろ……と、手堅い作りでお話は進んでいく。
ゴシック調のデパートを舞台とした点が正解。なんか起こりそうな雰囲気に満ちている。プロダクションデザインは『ターミネーター2』や『スピード2』などのジョセフ・ネメックIII世で、美術スタッフには『アンダーワールド』や『AVP』に参加した人の名も見える(デイジーとマイケルの子ども部屋に『ツバサクロニクル』や『ネギま!』のポスターが貼ってあったのが不思議)。
見えそうで見えない、あっやっぱり見えちゃった、という陰影もスリリング。鏡を多用しているだけに、映り込みの処理にも気を遣っただろうと感じさせる。撮影は『パリ、ジュテーム』の「ペール・ラシェーズ墓地」でウェス・クレイヴンと組んだほか、オカルトも数多く手がけているらしいマキシム・アレクサンドルだ。
音楽は『パンズ・ラビリンス』や『デビルズ・バックボーン』のハビエル・ナバレテ。
やっぱり“本職”の人たちが参加すると、ちゃんとしたカタチのオカルト作品になるのだなぁ、という印象の仕上がりである。
ただ、それ以上ではない。
見せかたは手堅いんだけれど、「この映画といえばコレ」という光るものはナシ。ストーリーも例によって「主人公が誰にも信用してもらえず、ひとりでジタバタ」系だし、ラストはバカ・アクション。すべての根源を滅ぼすという大切な行為についての伏線は用意されていない。
もはや何をやってもジャック・バウアーなキーファー・サザーランドが意外と頑張ってベン・カーソンになっているものの、じゃあベン・カーソンが印象に残る人物かというとそうでもない。
全体として、つまらなくはないし、破綻しているわけでもないし、デキとしては上々なんだけれど、強く印象には残らない映画。
本作のオリジナルである韓国映画『Mirror 鏡の中』(監督キム・ソンホ)は未見だが、どうやらもっと凝ったシナリオらしい。そっちのほうを見てみたいものだ。
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