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2011/01/22

パッセンジャーズ

監督:ロドリゴ・ガルシア
出演:アン・ハサウェイ/パトリック・ウィルソン/アンドレ・ブラウアー/ダイアン・ウィースト/クレア・デュヴァル/ウィリアム・B・デイヴィス/ライアン・ロビンズ/ドン・トンプソン/アンドリュー・ホイーラー/チェラー・ホースダル/ステイシー・グラント/コナー・ドウェリー/デヴィッド・モース

30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3

【旅客機墜落事故、事件の真相は?】
 海岸に旅客機が墜落、乗員・乗客のほとんどが犠牲となった。クレア・サマーズは恩師ペリーに促され、生き延びたわずかな人たちのセラピーを担当することになる。だが、航空会社のアーキンが「パイロットのミス」と主張するのに対し、乗客の中には「墜落前にエンジンが火を噴くのを見た」と証言する者も。生存者のひとりエリック・クラークに心惹かれながら、また疎遠になっている姉との関係に気を揉みながら、クレアは真相に迫る。
(2008年 アメリカ/カナダ)

★ネタバレを含みます★

【彼女の映画】
 いきなり「飛行機の墜落をスっ飛ばして描く」という、思い切ったオープニング。すごいリズムの作りかただなぁと感じたのだが、これはちゃんと意味のあることだと、後になって判明する。

 カメラマン出身の監督らしく、色合いやサイズなどにこだわったスマートな絵作り。切り返しの際のカットのつながりが不自然な箇所(右からのアングルだと口を閉じている人が左からだと開いていたりとか)はびっくりするくらい多いけれど、哀しげに奏でられるピアノとともに、冷たく静かな空気を上手に作り出していく。
 ゆっくりとしたテンポながら、トロトロ、たるい、というわけではなく、むしろ“急がない”という感じ。テーマを考えれば妥当なスピードだ。

 で、そのテーマというか事故・出来事の真相なのだが、まぁアレとかコレに近いんだろう(ネタバレの恐れがあるためタイトルは伏せます)なぁと思いながら観ていて、結果、当たらずといえど遠からず。
 ただ、アレとかコレが真相(オチ)に頼り気味のワン・アイディア映画だったのに対し、こちらは“その先”を目指している気配を感じられて、評価したいと思う。

 いわば「犠牲者の遺族へのケア」。
 あの人は苦しんで逝ったわけではない。いや苦しんだとしても、あの人はあの人の持つ価値観やこだわりを捨てずに逝ったのだ。そしてもちろん、天国はある。そんな慰めを事故遺族に与える、という役割を担っている作品のように感じるのだ。

 ま、アン・ハサウェイ主演ということで甘めに見ているのかも。実際、アン・ハサウェイが、いい。きゅっと上がった口角と大きな歯、キリっと濃い眉と下がり加減の目。その愛らしくてダイナミックな顔が、意志の強さも弱さも自在に表現する。
 内容からいっても「彼女の映画」であり、その役割をアン=クレアがまっとうした作品(もっともっと魅力的に見せたり、あるいはまったく別の良さを引き出すことはできるだろうけれど)といえるのではないだろうか。

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