ロックンローラ
監督:ガイ・リッチー
出演:ジェラルド・バトラー/トム・ウィルキンソン/タンディ・ニュートン/マーク・ストロング/イドリス・エルバ/トム・ハーディ/カレル・ローデン/トビー・ケッベル/ジェレミー・ピヴェン/クリス・“リュダクリス”・ブリッジス/ジミー・ミストリー/マット・キング/ジェフ・ベル/ドラガン・ミカノヴィッチ/マイケル・ライアン/ノンソ・アノジー/ジェマ・アータートン/デヴィッド・バーク=ジョーンズ/ケリー・ジョージ/ジェイミー・キャンベル・バウアー
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4
【ロンドンの裏側、悪党どものすったもんだ】
土地転がしに失敗したワンツーとマンブルズに残ったのは多額の借金。もっともワンツーらを陰で妨害したのは、彼らに金を貸したロンドンの顔役レニー自身だった。そうとは知らず、妖艶な会計士ステラから持ち込まれた強盗計画に乗るワンツーたち。実はその金、ロシアン・マフィアのユーリがレニーと取引するために用意したもの。悪党と悪党、行方不明のロックシンガーと盗まれた絵画、そして裏切り者……。事態は複雑に急加速していく。
(2008年 イギリス/ロシア)
【徹底した作風を味わう】
いかにもガイ・リッチーらしい作品。『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や『リボルバー』と同様、ワラワラと登場する小悪党どもが予測不能の出来事の中で悪戦苦闘するさまを描く。
無傷ですんだ者も、恥をかかなかった者も、手を汚さなかった者も、どこにもいやしない。
オープニングから首尾一貫してスタイリッシュ。解像度が高く、その場の光を重視して陰影に富み、ナナメだったり広角だったりする“凝った”画面が、ときには短く、ときには間の抜けた調子でつなげられていく。ロック主体のサウンドトラックがスピーディだ。
役者たちも雰囲気タップリ。ジェラルド・バトラーは正統派タフガイよりも、こういう半端モノの小悪党がハマっている。タンディ・ニュートンも、清楚で薄幸な妻より悪女が似合う。トム・ウィルキンソンはナマリ全開でイラだつボスを力演。マーク・ストロングの渋いオジサマっぷりも必見だ。
で、語るべきことは以上。ようやく気づいたが、ガイ・リッチーの作品には「本題」というものがないのだな。
とにかくひたすら、想定外が連続する出来事の中でジタバタする馬鹿者たちをカッコよく描き、だから観終えた後に残るのは「結局、計画って失敗するためにあるのね」という教訓だけ。
つまり「先を読ませぬ展開、ただし、とりたてていいたいことはナシ、というストーリー。それを『俺はこういう絵を撮りたいの!』という強烈な思いで撮ってみせて、そのこだわりは空回りせず、ちゃんと作品のスタイルや面白さを決める重要なファクターとして機能している」映画を生み出し続けているわけだ。
思えば『シャーロック・ホームズ』もそういう映画だった。
好きです、その徹底ぶり。
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