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2011/02/21

オー!マイ・ゴースト

監督:デヴィッド・コープ
出演:リッキー・ジャーヴェイス/ティア・レオーニ/グレッグ・キニア/ビリー・キャンベル/アーシフ・マンドヴィ/クレア・ローティエ/ブリジット・モロニー/ブラッド・オスカー/クリステン・ウィグ/ミカエル=レオン・ウーリー/ダナ・アイヴィ/アラン・ラック/ダーレン・ペティ/ジェシー・ミーンズ/ロバート・ケリー/ベティ・グリフィン/ジェフ・ヒラー/ミーガン・バーン/ディラン・クラーク・マーシャル/フェニックス&ジャズ

30点満点中17点=監3/話4/出4/芸3/技3

【死者の願いと隣人への恋と】
 NYの歯科医師ピンカスは、同僚とも付き合わず、患者の話を聴くなんてウンザリという人間嫌い。ところが臨死体験のせいで幽霊が見えるようになった彼のもとへ、成仏できない死者たちが詰めかける。中でも強引なフランクは、元妻で考古学者のグウェンが弁護士リチャードと再婚するのを妨害して欲しいとピンカスに依頼する。仕方なく、アパートの隣人でもあるグウェンに接近するピンカスだったが、彼女を本気で愛してしまい……。
(2008年 アメリカ)

【残された者にできること】
 デヴィッド・コープは「当たりハズレが大きい」というイメージだったけれど、あらためて振り返ればハズレたのは『シークレット ウインドウ』『ザスーラ』くらいで、『ザ・ペーパー』とか『宇宙戦争』とか、十分に当たりのほうが多い中距離ヒッターか。本作もヒットだろう。

 ピンカスが人間嫌いであることを、絶妙の気まずさとともに示す序盤が良質。また“能力”を得た直後、彼自身には生きている人と死者の見分けがつかないというのもポイント(でも死者たちは、衣装や立ち居振る舞いがビミョーに世の中から浮いている)で、そこからズブズブと本題に突入、巻き込まれていく語り口も上手い。

 以後、多様なBGMに彩られ、街をうつした挿入カットの美しさにも支えられながら、軽快にお話は進む。
 導入部とクライマックスを事故で結び付けたり、死者には感じられないであろうニオイという要素の頻出、永遠の命の象徴であるミイラ、クシャミの原因は死者とすれ違うからという“真実”など、この世とあの世をつなげる道具立ても上々だ。

 意固地でいけ好かないリッキー・ジャーヴェイス、美しい未亡人がハマリ役のティア・レオーニ、口八丁のグレッグ・キニア、いい人なんだかどうでもいいヤツなんだか正体不明のビリー・キャンベル、意外にもキーをにぎるアーシフ・マンドヴィなど、キャラクターとキャストのバランスもいい。

 で、ちょっと間の抜けたコメディの顔をしながら展開する本作、ラストで別の意味を持っていたことが明らかとなる。
 つまり、「笑うと痛むの」というグウェンと「治してあげる」とこたえるピンカス。
 そう、ピンカス自身も気づいたように、本当に大切なのは成仏できない者の想いを遂げることではなく、そうすることで残された者の心が晴れるという事実なのだ。家族や恋人が想い出の中に沈んで生きることを、先立つ者は誰も望んではいない。生きている者は(ときには死者の助けを得ながら)、生きている者どうしで“なんとかやっていく”ものなのである。

 撮りかたとしてはフツーで、たとえばピンカスがグウェンに惚れる場面にインパクトが足りないなど、ここぞというポイントを「流して」しまうマズさはある。リチャードの描写が浅かったり、ピンカスが生まれ変わるのもやや唐突だったり、全体に掘り下げ不足ともいえる。
 でも、コンパクトに、ニヤリクスリとさせながら、感動的に、いいたいことをちゃんと伝える映画にはなっているように思う。

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