ボーン・コレクター
監督:フィリップ・ノイス
出演:デンゼル・ワシントン/アンジェリーナ・ジョリー/クイーン・ラティファ/マイケル・ルーカー/マイク・マクグローン/ルイス・ガスマン/リーランド・オーサー/ジョン・ベンジャミン・ヒッキー/ボビー・カナヴェイル/リチャード・ゼーマン/オリヴィア・バークランド/ゲイリー・スワンソン/ダニエル・ブロチュー/ジーナ・グレイ/フランク・ファンテーン/デスモンド・キャンベル/エド・オニール
30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3
【寝たきりの捜査官が真犯人に迫る】
いくつもの著書を持つ現場捜査のエキスパート、リンカーン・ライム。いまは事故が原因で寝たきりの生活を強いられており、ベッドから捜査協力は続けているものの、安楽死を考えるようになっていた。そんな折、意識的に手がかりを残して警察を挑発する連続殺人事件が発生。現場の証拠を手早く保全した婦警アメリアを見込んだリンカーンは、彼女や元同僚のポーリー、鑑識のエディ、看護士セルマらとともに真犯人の狙いに迫ろうとする。
(1999年 アメリカ)
【ふたりの芝居を楽しむ】
主役リンカーン=デンゼル・ワシントンが“動く”のは冒頭の数分だけ。以後はずっと寝たきりで、表情とセリフまわしによる演技が続く。微妙な顔の変化と口調で、冷静さ、驚き、喜びなどを表現していて、なるほどデンゼル級の役者でないと務まらないキャラクター/作品だろう。
その相手、アメリア=アンジーは、珍しく「ギラリ」としたところのない役柄と演技。が、次第に警察官としての自覚や自信が立ち居振る舞いに宿るようになっていく。その自然な変化を表現しているのはさすがだ。
このふたりの芝居を楽しむのが大部分、という映画だろう。
あの顔(失礼)で意外とデキるルイス・ガスマンの鑑識官、案の定登場する役立たず上司チェイニーのマイケル・ルーカー、ビッグ・ファット・ママ的な立場を貫く(それだけにラストの扱いがサラリとしすぎているのが残念だが)クイーン・ラティファと、周辺キャラクターも良だ。
視線を意識したカットを多用したり、サウンドトラックや薄暗さで緊迫感を高めたりなど、ミステリーとしての作りも手堅い。音声認識コンピュータやベッドなどの道具立ても楽しく、かつストーリー展開や場面の面白さと密接に関連しているのがいい。
ただ、この手のお話ではありがちなことに、犯人が性急・不用意になってしまったり、警官側も無茶をしてしまったりと、ラストへ向けてやや強引になっているのが傷。犯人も「この扱いならコイツだな」と読めてしまうし、展開にも意外性は少ない。
リンカーンと犯人の対決はそれなりにスリリングだけれど、もっと映像的・映画的なコーフンは作れただろうし、リンカーンとアメリアが離れた場所にいることによる緊張感ももっと高められただろうと思う。
と、いくらか不満は残るものの、異色の主役像やメインキャストふたりの演技によって、退屈させない映画ではある。
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