ベッドタイム・ストーリー
監督:アダム・シャンクマン
出演:アダム・サンドラー/ケリー・ラッセル/ガイ・ピアース/ラッセル・ブランド/リチャード・グリフィス/テレサ・パーマー/ルーシー・ローレス/コートニー・コックス/ローラ・アン・ケスリング/ジョナサン・モーガン・ハイト/アレン・コヴァート/カーメン・エレクトラ/アビゲイル・ドローガー/アンナリセ・バッソ/アイシャ・タイラー/ロブ・シュナイダー/ジョナサン・プライス
吹替:森川智之/若村麻由美/山路和弘/佐藤せつじ/池水通洋/小林沙苗/山像かおり/諸星すみれ/吉永拓斗/角野卓造
30点満点中16点=監4/話2/出4/芸3/技3
【寝物語が現実に!?】
スキーターはメンテナンス技師。彼の働くホテルは、父が建てたモーテルを改装して作られたものだ。だが現経営者のノッティンガム氏は、さらにホテルの移設・増築を計画していた。そんな折、スキーターは姪のボビーと甥のパトリックを預かることになり、彼女らに毎夜楽しいお話を語って聞かせる。ところが幼いふたりがアレンジしたストーリーは次々と現実に! これを利用して、新ホテルの支配人になろうとするスキーターだったが……。
(2008年 アメリカ)
【居住まいを正して観る作品ではないけれど】
ハッキリと、ボビーやパトリックと同年代のお子ちゃま向け、あるいはその親たち向けの、軽めでドタバタでヒューマンなコメディ。
だから、お話としての深みや辻褄はゼロに等しい。
新ホテルの建設予定地が実は……という設定は「当然あるべきヒネリ」だろうし、主人公とヒロインの衝突と恋、イヤミで狡猾だがバカなライバル、セレブなお嬢様、役に立たない親友といったキャラクターと道具立てに、真新しさはナシ、独創性もナシ。
語られるおとぎ話は行き当たりばったり(まぁ子どもが話すことなんだから当たり前だけれど)、モルモットのバグジーは思わせぶりなだけ、ハッピーエンドもやや強引で、練られたシナリオではない。細かく挿入されるお笑いにもスベっているものが多い。
でも、赤い馬のフェラーリとかチャリオットによるスタントとか『スター・ウォーズ』のパロディとか、「クスクス」「ほっほぉ」を感じさせるネタの数々は、まずまずの楽しさ。CG、ロケーション、細かで妥当なカットとスピーディな編集など、作りも全体に丁寧だ。
お子ちゃま&ファミリー向けではあるけれど、予算を削ってゴマカシたりはしませんよ、ちゃんと作りますよ、という仕上がりにはなっている。
お調子者でちょっとズルくてロマンチックなこういう役は、さすがにお手のものといった感のアダム・サンドラー。ケリー・ラッセルも「普通に働いている普通の女性」が似合う。まさかガイ・ピアースが、バカな憎まれ役にこれほどハマるとは驚きだ。
ローラ・アン・ケスリングちゃんとジョナサン・モーガン・ハイト君のノーブルな可愛らしさも上々で、キャストはみな生き生きと動いている。
けっこうツボだったのは、ヒゲソリをするボビーとパトリックを見て、スキーターの悪友ミッキーが心配するところ。「あ、コイツってただのバカじゃないんだ」と思わせるんだが、スキーターが「ちゃんと刃は抜いてある。父親がいないこの子たちには、俺が父親代わりを務めなくちゃ」と返すのもいい。
なんというか「すくすくと育って欲しい」という、子どもたちに対する温かさ・優しさが全体を覆っているイメージがある。
大人が居住まいを正して観るような作品ではないけれど、ちょっと時間の空いた午前中に親子でサラリと鑑賞するにはいい、そんな映画だろう。
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