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2011/03/31

天使と悪魔

監督:ロン・ハワード
出演:トム・ハンクス/ユアン・マクレガー/アイェレット・ゾラー/ステラン・スカルスガルド/ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ/ニコライ・リー・カース/アーミン・ミューラー=スタール/トゥーレ・リントハルト/デヴィッド・パスクェシ/コジモ・ファスコ/ヴィクター・アルフィエーリ/マーク・フィオリーニ/カルメン・アルゼンツィアーノ

30点満点中18点=監4/話3/出3/芸4/技4

【教授ふたたび。謎解きの舞台はバチカン】
 ローマ教皇が天に召され、哀しみに沈むバチカン。教皇選挙が迫る中、次期教皇の有力候補4人が誘拐される。加えて実験施設から盗まれた反物質が爆弾としてバチカンに仕掛けられたことも判明。宗教の誤りを科学的見地から解明しようとして迫害された集団「イルミナティ」の犯行らしい。その計画を阻止するため、宗教象徴学者ラングドンと物理学者ヴィットリアは、喪中の責任者であるカメルレンゴらの助けを得ながら奔走するのだが……。
(2009年 アメリカ)

【前作よりも質向上】
 前作『ダ・ヴィンチ・コード』の感想を読み返してみた。うーむ、そのまんま本作にも当てはまるぞ。

 まずは、ハドロン加速器、サン・ピエトロ大聖堂と広場、システィーナ礼拝堂など美術面の仕事とロケーションが上質。代替の建物あるいはセットでの撮影、合成の多用などであるはずだが、なかなかに雰囲気タップリ。宗教美術の美しさを感じることもできるし、メタリックかつオイリーな色調もバチカンの荘厳さになじんでいる。

 あるときはゆっくりと、またあるときはスピーディに、カメラは常に動いてダイナミックな絵作り。素粒子の世界まで映像化してみせたり、地下へのフタを開けるだけで3~4カット割ってみたり。鳴り止まないBGMとSEもスリルを盛り立てる。
 全体として、とにかくスケール感とリアリティとジェットコースター的疾走感にこだわった仕上がり。そんな中に、世俗的な枢機卿たちの様子、資料保管庫から脱出するくだりなどのユーモアも挟んでいく。

 役者たちも、光ってやろうなどと余計なことを考えず、この疾走感の中で上手く立ち回って、1つのパーツとしてエンターテインメント作品の完成度アップに貢献しましょう、といった印象。暗殺者役のニコライ・リー・カースが『フレッシュ・デリ』の人と知って驚いたけれど、トム・ハンクス、ユアン・マクレガー、アイェレット・ゾラー、ステラン・スカルスガルド、アーミン・ミューラー=スタールは、それぞれ安定した芝居だ。

 そんなわけで、前作との作りの近さも合わせて、安心して観られるサスペンス・アクション大作、といったイメージだ。

 前作から向上したのは、ストーリー/シナリオ面。
 まぁ相変わらず説明→走る→アクション→説明→走る……を繰り返す力技なんだけれど、いちいち細かく咀嚼するヒマを観客に与えず、ひたすらラングドンがグイグイと引っ張っていくような展開が奏功している。謎解き要素はゼロに近いのだが、それだけシンプルに「いまラングドンがやらなければならないこと」に素直に付き合うことができるのだ。

 キャラクター配置も上手い。インテリジェンスと行動力に富んだ主人公、彼と互角の働きを見せる美女、物柔らかな口調が逆に怪しげな最重要ゲストキャラクター、主人公の考えに理解を示さない偉い人、サポートする実直な警察官、自分なりの価値観を持った職業悪人、ストーリーの重心を下げるための老人……と、みなステロタイプではあるが、必要かつ魅力もある人物が適確に散らされ、お話を円滑に進めていってくれる。
 どうやら原作に忠実だった前作に比べ、こちらはかなりの脚色が加えられているらしい。新たに参加したデヴィッド・コープの手腕が大きかったのだろう。『オー!マイ・ゴースト』に続き、この人の構築力・構成力の巧さをあらためて感じ取れる仕上がりだ。

 タイトルにある「天使」とは誰なのか、それが明らかとなってニヤリとさせられるラストまで、一気呵成に見せ切る作品である。

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