マックス・ペイン
監督:ジョン・ムーア
出演:マーク・ウォールバーグ/ミラ・クニス/ボー・ブリッジス/クリス・“リュダクリス”・ブリッジス/クリス・オドネル/ドナル・ローグ/アマウリー・ノラスコ/ケイト・バートン/オルガ・キュリレンコ/ラザフォード・グレイ/ジョエル・ゴードン/ジェイミー・ヘクター/アンドリュー・フリードマン/マリアンティ・エヴァンス
30点満点中16点=監4/話2/出3/芸3/技4
【男の復讐が始まる】
強盗団に妻ミシェルと幼い子を殺され、いまは未解決事件のファイル管理という閑職に身をやつしているマックス・ペイン刑事。たが独力で強盗団の情報を集め、ひとりだけ逃げた犯人の追跡を続けていた。ある夜、彼と関わったロシア娘ナターシャが惨殺され、ナターシャとミシェルの死に関連があることをつかんだマックスの元相棒も殺害される。マックスはナターシャの姉モナとともに、事件の鍵である「弓形の翼」の刺青を追うのだが……。
(2008年 アメリカ)
【見た目重視だが過去作からの成長も】
ジョン・ムーア監督作『エネミー・ライン』では「やってみたいことがヴィジュアルイメージとしてまずあって、それにストーリーを後付けしたような印象」と書いたが、今回もまったくその通りのデキ。
原作はTVゲームなんだとか。道理で見た目&銃撃戦の迫力を優先したような仕上がりだ。
青とグレイを基調とした色合い、デジタルライクでシャープな画質。さらに闇の中の光、明るさの中の影を意識させる絵作りで、なかなかにスタイリッシュ。
ただ『エネミー・ライン』にあった「すべてのシーンが意味ありげに見えて、キモとなるシーンとの差別化が曖昧」というところからは確実に進化。状況を描写する場面では必要なものを適確にうつして「見せてわからせる」という作りを取り、いっぽうアクションシーンでは、カメラをしきりに揺らしたり、細かくカットを割ってスピーディにつないだり、スローやCGも織り交ぜたりしてメリハリを効かせる。神経質なサントラで重苦しさとスリルとを盛り上げていく腕も手堅い。
ストーリーも「十分に練られていない」というレベルから進歩したといえるだろう。細かな説明は後回しにし、いきなりの危機から始め、時間をさかのぼり、ミシェルの死をフラッシュバックさせつつマックスの行動を描き、彼の過去や立ち位置を上手く盛り込み、事件の真相へ少しずつ迫っていく。一本調子ではない展開で、まずまず面白い。
それでも、強引でゴリ押し的であることは確か。モナがマックスの味方につくのは唐突だし、「政府も関わる陰謀」は安直で、そのキーとなるアイテムも科学的・軍事的に難あり。ミシェルの元上司ジェイソン・コルヴィンが取る行動の動機もしっかりとフォローされていないし、「パターンからいって、こいつは悪いヤツだよな」と読めてしまう。
特に終盤は、恐らく高額であろうドラッグのストックを悪党どもが構わず打ちまくったり、損失を考えずに大爆破を敢行したりなど、リアリティに乏しいバカ・アクションのノリだ。
キャスティングにもクセがあって、マーク・ウォールバーグはフツーに演じていて無理がないけれど、ミラ・クニスとオルガ・キュリレンコ(贅沢な使いかただ)は逆のほうが作品に花が生まれたはず(実際オルガのほうが年上)だし、ルピーノ軍曹=アマウリー・ノラスコは「スクレ、お前ホントはいいヤツなのに」というイメージで観てしまう。
ま、エンド・ロール後のオマケのおかげで、さほど悪くない観後感を得られるのは救い。及第点には及ばないものの、退屈はしない1本。
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