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2011/04/14

消されたヘッドライン

監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:ラッセル・クロウ/ベン・アフレック/レイチェル・マクアダムス/ヘレン・ミレン/ロビン・ライト・ペン/ジェイソン・ベイトマン/ジェフ・ダニエルズ/マイケル・ベリーズ/ハリー・レニックス/ジョシュ・モステル/マイケル・ウェストン/バリー・シャバカ・ヘンリー/ヴィオラ・デイヴィス/デヴィッド・ハーバー/セイラ・ロード/タック・ミリガン/マリア・セイヤー

30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3

【2つの事件、その真相は?】
 ある発砲事件の取材を進めるワシントン・グローブ紙の記者カル・マカフリー。彼の旧友スティーヴン・コリンズ議員は民間軍事企業ポイントコープ社を糾弾する公聴会の指揮を執っていたが、スタッフで愛人のソニア・ベーカーが急死する。事故か、自殺か。マスコミがゴシップに色めき立つ中、ソニアの死と発砲事件とが結びつく証拠をつかんだカルは、すべてはポイントコープの陰謀と考え、若手記者デラとともに独自調査を開始する。
(2009年 アメリカ/イギリス/フランス)

【面白いけれど焦点はボヤけてしまった】
 仲里依紗、ナタリー・ポートマン、そしてレイチェル・マクアダムス。最近“お気に”の女優さんは、みな左頬にホクロがあることに気づいた。これはもう前世で左頬にホクロを持つ女性と何か因縁があったに違いない。

 ま、それはともかく、今回は悲恋の女性でも悪女でもなく「懸命に、そして鋭く働く女性」の姿を見せてくれるレイチェル。もうちょっと印象的なシーンを用意して欲しかったとも思うが、細身のラインもイタズラっぽい微笑もやはり可愛い。
 また、レイチェル=デラは新たな証拠を手に入れた際、わざわざカルを他のスタッフがいる部屋から呼び出してから報告する。そこに、共犯関係へと踏み込みながら記者として成長していく彼女のたくましさを見る。

 デラだけではなく、デブを自嘲するカル=ラッセル・クロウの体型、ベン・アフレック演じるスティーヴンの焦り、ロビン・ライトによるアンの気持ちの浮き沈み、編集局長役ヘレン・ミレンの苛立ちなど、“人の様子”をしっかりと撮っていく作り
 カメラは登場人物たちの直近でまわり、音楽はサスペンスを盛り上げる。全体に、その場に居合わせているような感覚を味わいながら、先の読めない展開を楽しめる仕上がりといえる。

 ただ、ちょっとお話の焦点はボヤけてしまった感じ。
 カルのセリフや姿勢からは「もはや新聞はインターネットに比べて力を失くしてしまった。が、徹底取材をもとにした誠実なニュースを求めている読者もいるはず」という、報道論のようなものもうかがえる。
 速報性とお手軽さとゴシップばかりが先行し、いわゆる「便所の落書きにあふれた」、ネット上の“ニュースのようなもの”に対する批判が、本作に込められているのは確かだろう。

 が、そのほかにも、真相究明のための捜査と謎解き、真実を追い求めるプロフェッショナリズムの中で捻じれるカルとスティーヴンの友情、スティーヴンの悔恨、デラの成長、戦争は誰のためのものか、癒着と腐敗……と、数多くのテーマが盛り込まれ、それぞれが中途半端になってしまっている。

 シナリオに優秀な面々が揃っていてポリティカル・サスペンスやエンターテインメントとしての面白さ、展開のスピード感などは上々なのだが、さまざまなテーマ/ファクターの中で何を重視してお話を着地させるのかというベクトルが散漫になり、それが印象的なシーンの不足にもつながっているように思える。

 面白いんだけれど、インパクトには欠け、後味もあまりよくない作品、といったところだろうか。

●主なスタッフ
 シナリオは『キングダム/見えざる敵』のマシュー・マイケル・カーナハン、『フィクサー』『デュプリシティ~スパイは、スパイに嘘をつく~』のトニー・ギルロイ、『アメリカを売った男』のビリー・レイら。
 撮影は『バベル』などのロドリゴ・プリエト、音楽は『Dearフランキー』『ラストキング・オブ・スコットランド』のアレックス・ヘッフェス。

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