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2011/05/27

インストーラー

監督:ジュリアン・ルクレルク
出演:アルベール・デュポンテル/マリー・ギラール/マルト・ケラー/メラニー・ティエリー/アラン・フィグラルツ/スマディ・ウォルフマン/エステル・ルフェビュール/クロード・ペロン/パトリック・ボウショー

30点満点中16点=監3/話3/出4/芸3/技3

【記憶をめぐる事件】
 銃撃戦の末に容疑者ニコロフを取り逃がし、相棒で最愛の女性でもあったサラを喪ってしまったユーロポールのダヴィッド・オフマン刑事は、新たな相棒マリーとともにニコロフの行方を追う。いっぽう交通事故に遭ったマノンは医師である母ブリューゲン教授のもとでリハビリを続けていたが、記憶の混乱に悩まされていた。ニコロフ事件の犠牲者やマノンに共通する目の下の傷、捜査に干渉する国土監視局など、この事件の向こうにあるものは?
(2007年 フランス)

★ややネタバレを含みます★

【見た目は悪くないが、窮屈で面白味にも欠ける】
 青白さとグレイが混じった色調、かつアンダー気味のデジタルっぽい画質の向こうに、モダンで幾何学調の美術、網膜スキャナー、シルバーメタリックのクルマ、タッチパネル式の机、マイクロチップ、遠隔手術、そして事件のキーとなる装置『クリサリス』など多彩なガジェットが踊る。
 いかにもなSFタッチの作り。嫌いではない。

 音の強弱を細かく使い分け、問答無用の展開でストーリーを進ませ、下手な説明は割愛、ごちゃごちゃした手続きは省略、見せるべきものを見せて成り行きをわからせる語り口も良質だろう。
 サラを死なせてしまった悔恨がダヴィッドに「長く息を止めて潜る」という行為に走らせ、それがアクションにつながってくる(あまり上手い手際ではないけれど)という味も見せる。

 そう悪いデキではないのだが、室内・屋内が中心でどうにも画面が狭苦しく、全体に“遊び”もないため、窮屈で面白味のない映画になってしまっている。もったいぶった間(ま)もかったるいし、打ち込み系のBGMもちょっと安っぽくて、国土監視局が姿を現す後半部はやや強引で性急だ。
 原題は『CHRYSALIS』。妙な邦題をつけたことも安っぽさにつながっているように思える。

 ラストだけをカラフルにしたのは「ここから積み上げていく記憶が幸せなものであるように」という祈りの表れなのだろうが、そもそも大切な記憶を失った哀しさが出ていないため、このエンディングも空回り。
 お話のバランスとして、ダヴィッドがニコロフに拉致されてからのボリュームをもっと増やせば、印象も変わったことだろう。
 カルトを狙ったけれど、そこまでには至らず、マイナー感だけが表出してしまった、という仕上がりだ。

 それにしても、アルベール・デュポンテルというオッサン(自分とたいして年は違わないけれど)、芸の幅が広い。コメディもシリアスもハードボイルドも、ピアニストもタフガイも演じ分け、今回は鍛え上げた肉体とスピーディな格闘まで見せてくれる。
 それが一番の収穫だろうか。

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