アウトランダー
監督:ハワード・マケイン
出演:ジム・カヴィーゼル/ソフィア・マイルズ/ジャック・ヒューストン/ジョン・ハート/クリフ・サウンダース/パトリック・スティーヴンソン/エイダン・ディヴァイン/ロン・パールマン/ベイリー・モーガン/ジョン・ネルス/ジェームス・プレストンロロジャース/スコット・オーウェン/ペトラ・プラザック/オーウェン・パッティソン
30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4
【バイキングとともに、怪物へ挑む】
709年のノルウェーに宇宙船が不時着。生き延びた乗組員ケイマンは、ガナーの村を襲った疑いでバイキングのへロット族に囚われてしまう。だがそれは船から逃げ出した怪物モーウェンの仕業。ケイマンが王女フレイアに語ったのは、自分たちの一族が犯した過ちと哀しい過去だった。人食い熊を狩ったことでヘロットの王ロスガーやその後継者ウルフリックの信を得たケイマンは、バイキングと力を合わせてモーウェンに立ち向かっていく。
(2008年 アメリカ/ドイツ)
【ビミョーなB級】
設定からしてB級臭さがプンプン、日本ではDVDスルー、アメリカでも限定公開だった模様。そんなわけで多大な期待をせず観ることになるわけだが、その「どうせ」という思いは少し上回ってくれるデキ。
オープニングのCGやVFXは頑張っているし、青暗くってシャープな色調もSFっぽい雰囲気たっぷり。言語を脳に直接ぶち込むコンピュータというアイディア/ガジェットも面白い(その後ノルウェー語を喋らず英語で押し通すってとこが、いかにもB級アメリカンだが)。
逆光の多用など画面作りにもこだわりを見せ、カット割りや展開はスピーディ、ヘロット族の村を作り上げた美術も“ちゃち”ではない。
倒したビヨーンの足の裏に自分の足を押しつけて靴のサイズを確認するところとか、自分たちの過去に何があったかという説明を説明っぽくなく盛り込むところとか、「盾歩き」をモーウェン退治につなげたりとか、演出・シナリオの両面で語りの上手さも感じられる。
見た目的・作り的には、それほどバカにしたもんじゃない。
が、やっぱりB級。
異分子、老いた王、その座を狙う若者、王女、調子のいい戦士、対立や復讐、子どもといったキャラクター配置や構図は見慣れたフォーマット。『マッドマックス』とか『エイリアン』とか『プレデター』などを、ミックスして再構築したという雰囲気も強い。宇宙人とバイキングという設定も、それほど生かされているとはいいがたい。
アクションシーンも、別に悪くはないのだけれど、近年この種の大作で見られる「さまざまなアイディアを、1つ1つの動きを大切にしながら、スピード豊かに見せる」手法とは異なり、「なにがなんだかドババババ」といったホラー的なノリ、面白味には欠ける。
ひょっとして続編を作ろうと考えたのか、あれで「モーウェンは倒した」といわれても納得しにくいクライマックスにも疑問が残る。
イケてないけれど、つまらないわけではない。期待しすぎるとスカされてしまうけれど、B級と割り切って観ればソコソコには楽しめる。でも真のB級ファンにとってはちょっと頑張りすぎているのが不満。
そんなビミョーな作品かも知れない。
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