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2011/06/24

Uターン

監督:オリヴァー・ストーン
出演:ショーン・ペン/ジェニファー・ロペス/ニック・ノルティ/ビリー・ボブ・ソーントン/パワーズ・ブース/ホアキン・フェニックス/クレア・デインズ/イリア・ボロック/ヴァレリ・ニコライエフ/シェリー・フォスター/リヴ・タイラー/ジョン・ヴォイト

30点満点中19点=監4/話3/出4/芸4/技4

【最悪の1日】
 ロシアン・マフィアに返さなければならない金を持って、64年型マスタングを西へと走らせるボビー・クーパー。だがアリゾナの荒野でクルマにトラブル発生、やむなくスペリアという田舎町に立ち寄る。油断ならない修理工のダレル、妖艶な人妻グレース、その夫ジェイク、TNTとジェニーのイカレたカップル、彼らに目を光らせる保安官、盲目の老人、強盗……。妙な連中とアクシデントだらけの町から、ボビーは無事に抜け出せるのか?
(1997年 フランス/アメリカ)

【喜劇と悲劇は紙一重】
 同年公開の『セレナ』でゴールデン・グローブ賞ノミネートを果たしているように、この頃のジェニロペは「グイグイ行きますから」という時期だったのだろう。その想いをまんま体現するように、若さと愚かさと執念と、もちろんイロっぽさを上手にミックスさせて、ささやく声でバカな男どもを絡み獲っていく。実にいい。

 ショーン・ペンの憔悴&都合のよさ&オドオドっぷりやジョン・ヴォイトの正体不明感、ニック・ノルティの倒錯親父、パワーズ・ブースの田舎者保安官としてのそれっぽさ、ホアキン・フェニックスとクレア・デインズのバカップルも上々。ビリー・ボブ・ソーントンも存在感たっぷりで、あれっと思ったらやっぱりリヴ・タイラーというお楽しみも。

 彼らが繰り広げるドタバタ、喜劇と悲劇は紙一重だという現実を、粒子感のある絵で、暑さとホコリとともにうつしていく。「目に入ってくるもの」や「かつて見たもの」をアップで捉えたカットが短くインサートされて、事態の“どうしようもなさ”を際立たせていく。
 サントラは明るく多彩で、いっぽうエンニオ・モリコーネのスコアは調子っぱずれで気忙しくて神経を逆なでする音にあふれる。セリフや笑い声や動物の鳴き声がSE的に使われて、さらに不条理感は募る。

 で、内容はといえば前述の通り、喜劇と悲劇は紙一重だと強く感じさせるドタバタ。リアリティがあるんだかないんだか、観る側も暑さと倦怠感にうなされながら事態にズルズル引き込まれていく、というイメージ。
 おいボビー、他に何とかやりようがあるだろ。ああそうか、映画の主人公はボビーだが物語の主人公はグレースなのか。と思いきや、「ばふっ」という秀逸なオチで閉めて、誰も主人公なんかじゃないと告げる。
 不道徳な人間ほど自由を満喫しているといいながら、結局、不道徳な人間は予定より早く自由を奪われるという真実。
 ある意味「どうでもいい」話であり、ちょっと喋りすぎている部分もあるのだが、絶妙のテンポとユーモアをラストまで持続させていて楽しい。

 要は、お芝居も作りも質がよくって、その結果としてのイライラを味わうという特異な作品。ラジー賞でワースト監督賞にノミネートされているけれど、それは「もうっ、こんなにイライラさせるなよ」という意味=賞賛といえるのかも知れない。

 さて、教訓。アクシデントには気をつけろ。とりあえず、何もなかったふりをして関わりあわずにやり過ごせ。
 まぁボビーには無理か。そもそも借りちゃいけない相手から金を借りたことが発端だし、「こんなところでドクター・ペッパーなんか飲んだら、ますます体がベトつく」ということもわかっていないくらいなんだから。

●主なスタッフ
 脚本は『スリー・キングス』原案のジョン・リドリー。撮影は『救命士』『グッド・シェパード』『シャッター アイランド』のロバート・リチャードソン。

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