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2011/06/13

レッド・ドラゴン

監督:ブレット・ラトナー
出演:アンソニー・ホプキンス/エドワード・ノートン/レイフ・ファインズ/ハーヴェイ・カイテル/エミリー・ワトソン/メアリー=ルイーズ・パーカー/フィリップ・シーモア・ホフマン/アンソニー・ヒールド/ケン・レオン/フランキー・フェイソン/タイラー・パトリック・ジョーンズ/フランク・ワーリィ/エレン・バースティン(声の出演)

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸4/技3

【殺人鬼と元捜査官が、新たな猟奇殺人を暴く】
 FBIに協力しつつも裏では人肉を食していた殺人犯ハンニバル・レクター博士。重傷を負いながらレクターを逮捕したウィル・グレアムは、いまでは職を退き、家族とともにフロリダで暮らしていた。だが2件の一家惨殺事件が発生、グレアムの元同僚クロフォードが彼を現場へと連れ戻す。犯人像へと迫るため、終身刑で服役中のレクター博士にふたたび協力を仰ぐグレアム。いっぽう“レッド・ドラゴン”を崇拝する真犯人Dは……。
(2002年 アメリカ/ドイツ)

【三極構成で焦点はボヤけたが、面白い】
 下手クソなフルーティストと、彼の演奏に対し、微かな、けれど確固とした嫌悪を示すレクター博士、というオープニング。いきなり“狂人”に感情移入させるような幕開けがユニークだ。

 以降、テンポのよさで見せていく作り。あるいは全部を見せず、想像させたり読み取らせたりするような展開。たとえば件のフルーティストの殺害場面は直接描かず、会食シーンでニヤリとゾクリを誘う。
 また、小枝の切り口~木の上からの見張り~「中」の文字という流れでグレアムがヒントをつかんでいく場面、グレアムとレクターとの駆け引きではフロリダという地名を出さず「どういう場所に住んでいるか知っているぞ」と匂わせ、ミスターDがリーバと過ごす夜には、次に殺す家族の下調べ=ビデオ鑑賞を倒錯へとつなげる。

 下手な説明抜きで進めていく手際も鮮やかで、全体としてムダも不足もない語り口。直接的な暴力や血より、裏に潜む狂気を重視しているのも特徴だろう。

 フロリダで展開するラストも、なるべく短くスピーディにまとめて、ズルズルとバカ・アクションにしなかった点に好感が持てる。
 原作も読み、鑑賞は2度目でもあるのだけれど、それでも面白く観られたのだから、いい仕上がりだ。

 シャープで陰影豊かで多彩なサイズの絵を見せる撮影、ホラー演出的にサスペンス場面に乗っけられる不協和音や神経質な弦、書斎・監獄・屋敷・捜査本部などすべてがそれっぽく整えられた美術など、スタッフの支えもしっかりと感じ取れる。

 もちろんアンソニー・ホプキンスを筆頭に、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、ハーヴェイ・カイテル、エミリー・ワトソン、メアリー=ルイーズ・パーカー、フィリップ・シーモア・ホフマンと、微妙な表情やセリフの発しかたでさまざまな芝居ができる人たちを中心に配したことも、作品に“格”をもたらしている。

 ただ「レクター博士でなければ成立しない話か?」となると、ちょっと疑問は残る。というか、展開の早さとテンポのよさに引っ張られすぎで、しかもレクター博士、グレアム、ミスターDの三極構成であるため、焦点がバラけてしまい、それぞれに対する斬り込みが不足、どうも“深み”に欠ける印象だ。
 せっかく「想像力の代償は恐怖」なんていう素晴らしいセリフがあるのだから、それを広げて、グレアムが味わう「自分も彼らと同類かも知れないという恐怖」や「家族が危険にさらされるかも知れない恐怖」に的を絞ったほうが作品としては締まったことだろう。

 とはいえ、エンターテインメントとしての面白さは感じられる映画。シリーズを時間軸に沿って通しで観てみたいと思わせる魅力はあるといえるのではないだろうか。

●主なスタッフ
 撮影監督は『インサイダー』『彼が二度愛したS』のダンテ・スピノッティ、音楽は『キングダム/見えざる敵』『ウォンテッド』などのダニー・エルフマン、美術は『ブレイブワン』『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』のクリスティ・ジィ。

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