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2011/06/01

ターミネーター4

監督:マックG
出演:クリスチャン・ベイル/サム・ワージントン/ムーン・ブラッドグッド/ヘレナ・ボナム=カーター/アントン・イェルチン/ジェイダグレイス・ベリー/ブライス・ダラス・ハワード/コモン/ジェーン・アレクサンダー/マイケル・アイアンサイド/イヴァン・グヴェラ/クリス・ブラウニング/テリー・クルーズ/ローランド・キッキンジャー/ブライアン・スティール/リンダ・ハミルトン

30点満点中18点=監4/話2/出4/芸4/技4

【未来を救え】
 2003年の死刑囚マーカス・ライトが目覚めたのは2018年。そこでは反乱を起こしたスカイネットのターミネーターと人類側レジスタンスが激しい戦闘を繰り広げていた。マーカスが“2度目のチャンス”を与えられた意味とは? いっぽうターミネーター制御用シグナルを入手したレジスタンス司令部は、一気にスカイネット本部へ攻め込もうとする。だがそこには、救世主ジョン・コナーの父となるはずのカイル・リースが囚われていた。
(2009年 アメリカ/ドイツ/イギリス/イタリア)

【面白いデキだが、足りなさもいっぱい】
 砂塵吹きすさぶ戦場、瓦礫だらけの都市、近未来の建物。ギラっとした光沢、豊かな陰影や霞み、奥行き。そんな画面に、おなじみの「ダダンダンダダン」とダニー・エルフマンのスコア、爆撃音や飛行音が重厚に乗っかり、多彩なデザインのターミネーターどもが上質なCG/合成で跋扈する。
 舞台を大きく広く捉えつつ、ヘリコプターが飛び立ってから落ちるまでをダイナミックなカメラワークの1カットで見せるなど『スター・ウォーズ』シリーズを思わせる“その場叩き込み型”のアクションは秀逸だ。

 キャスト陣も豪華で、クリスチャン・ベイルは『ダークナイト』などバットマン・シリーズよりも直線的な人物を真っ向から演じ、サム・ワージントンはいかにも「SFアクションの悲劇のヒーロー」といった趣。薄幸と冷淡とを巧に表現するヘレナ・ボナム=カーターもさすがだ。
 アントン・イェルチンが、『ぼくの大切なともだち』とも『スター・トレック』とも雰囲気を変えて、意外な戦闘能力を発揮するのが楽しい。ジェイダグレイス・ベリーちゃんの、まったく女の子だとはわからなかった中性的なキャラクターもキュート。たぶん今後、重要な役割を果たすことになるんだろうなと感じる。シュワちゃんの再現(ローランド・キッキンジャーの体にシュワちゃんの顔をCG合成したのかな?)も、シリーズのファンには嬉しいところ。

 シリーズ・ファンにとってのお楽しみといえば、「I'll be back」は当然のように出てくるし、サラ・コナーのテープ&ナレーションの流用もあり、クライマックスは工場での戦闘というお約束も忘れていない。
 いっぽうで潜入用サイボーグとか巨大ターミネーターとか新要素も盛り込み、まだこの時点でジョンは1部隊長に過ぎないという新解釈も先の展開の楽しさを予感させる。

 トータルとして、なかなかに面白いデキ。マックGは『チャーリーズ・エンジェル』シリーズのハイテンションが楽しかったけれど、今回も全編に渡っての迫力とスピード感は上々だ。
 とりわけ、細かく面白く、という配慮がいい。
 クルマのエンジンをかけると音楽が鳴ったり、ターミネーターの退治方法にはさまざまなバリエーションを用意していたり。本筋には必要ではないけれど、1カット/1シーンを面白くするための“遊び”のようなものをチョコチョコ挿入していこう、というベクトルを感じる。

 で、本筋に必要な“説明”は大胆に省く。それは怒涛のリズムを生むもとになっているけれど、強引・性急さにもつながっている。
 たとえばマーカスの中の自我とプログラムの葛藤、ラストで彼が取る行動とコナーがそれを受け入れることの妥当性などは、明らかに説明と描写が不足している。クライマックスへ向けてのレジスタンスたちの行動も、そこに説得力を持たせるためには、戦士およびリーダーとしてのコナーの優秀性を前半で明示しておくべきだったはずだ。
 また、自分の直近で核爆発を起こすというバカさも気にかかる。

 シナリオはジョン・D・ブランカトーとマイケル・フェリス。って、なんだ『ターミネーター3』の人たちじゃん。
 シリーズの歴史から抹殺されようとしている作品の、その失敗の張本人たちが、まるで自ら「なかったこと」にしようと路線・構成・時間軸の解釈などを大幅に変更した、というわけか。
 それはそれで立派だし成功しているとも思うし、なんかセルフパロディでタイムパラドックスを起こそうとしているようで笑えるけれど、やはり地力の部分で“足りなさ”が出てしまっている、ということなのだろう。

 さて『T5』はどうなるのか。本作を観る限り、期待と不安は半々といったところである。

●主なスタッフ
 撮影は、あの怪作『11:14』のシェーン・ハールバット。編集は本家の『T2』にも携わり、『ハプニング』『キング・アーサー』『ザ・シューター/極大射程』を手がけたコンラッド・バフIV世。
 VFXは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのチャールズ・ギブソン。美術チームの過去作には『タイタニック』、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』『ジェシー・ジェームズの暗殺』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『ゾディアック』などがある。メイキャップは『アバター』のマイク・スミスソンで、サウンドチームの過去作には『Mr.&Mrs.スミス』『アイ・アム・レジェンド』など。

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