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2011/06/27

目撃

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド/ジーン・ハックマン/エド・ハリス/ローラ・リニー/スコット・グレン/デニス・ヘイスバート/ジュディ・デイヴィス/E・G・マーシャル/メロラ・ハーディン/ケネス・ウェルシュ/ペニー・ジョンソン/リチャード・ジェンキンス/マーク・マーゴリス/エレイン・ケイガン/アリソン・イーストウッド

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4

【ある殺人を目撃した泥棒の運命】
 初老の泥棒ルーサーが今回ターゲットに選んだのは、財界の大物サリヴァンが住む屋敷。警報を切り、鏡の裏に作られた隠し金庫に潜り込んだまではよかったが、そこへカリブ旅行中であるはずの家人が帰ってくる。サリヴァンの妻と、そして相手の男は……。あってはならない殺人とその隠蔽工作を目撃したルーサーにセス警部補が迫り、ルーサーの娘で検事のケイトにも危険が近づく。果たして孤立無援の泥棒は事態を解決へと導けるのか?
(1997年 アメリカ)

【お話のデキに不満はあるが、楽しさもある】
 そう大したデキのストーリー/シナリオではないと思う。
 シークレット・サービスの行動が不用意だったり、大統領の取り巻きが少なくて不自然だったり、ケイトが父ルーサーをあっさりと許したり、サリヴァンが雇った殺し屋など疎かにされているキャラクターもいたり。
 何より、展開が偶然に頼りすぎ。殺人を目撃するのも、真犯人の厚顔ぶりをルーサーが知るのも、狙撃からルーサーが生き延びるのも、すべて偶然。ルーサーは「デキる男」なのだから、もう少し彼の“考え、周到に用意したうえでの行動”を印象づけてもよかったはずだ。

 そうした不満はあるものの、全体としてのまとまりは良。「観ている者も登場人物も、ここからここまでは知っている」「ここは見せなくっても大丈夫」という前提で上手く場面を省略、テンポを上げている。
 オープニング~目撃~逃走は、意味のある台詞をほとんど使わぬまま綺麗に流しているし、その後も「ここは間に合うだろうというところで間に合わない」など期待をいい意味で裏切ってくれる。

 父と娘が同じ写真を愛しているという事実にもグっと来るし、ビデオの予約もできないと周囲に思わせているルーサー、ケイトの冷蔵庫、セスが何度もアピールする「ひとり暮らし」など、ポンと挟まれるユーモアもいい。

 見せかたとしては、多分、編集(『許されざる者』『グラン・トリノ』などイーストウッド作品に携わり続けているジョエル・コックス)が効いているのだろう。リモコンのドキリ、カフェでの待ち合わせシーンにおけるカットバック、ベッドで眠るケイトの危機……など、要所要所でスリルを味わえる。
 SE的なサントラで緊迫感を高めたり、サリヴァンの歩調にマーチを被せたりなど音の使いかたも面白い。

 出演者たちは、そりゃあもう演技派を揃えて、けれど8割の力でサっと芝居をしてもらっているという雰囲気。それをじっくりと見せることで「重々しいけれど流れはいい」という独特の空気が生まれているように感じる。

 1992年の『許されざる者』と2003年の『ミスティック・リバー』に挟まれたこの時期は、イーストウッドにとって停滞期だったのかも知れないが、なんだか「ちょっとヒッチコックに挑戦してみよう」みたいな軽めのニオイがあって、意外と楽しめる作品だ。

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