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2011/06/05

レイチェルの結婚

監督:ジョナサン・デミ
出演:アン・ハサウェイ/ローズマリー・デウィット/ビル・アーウィン/アンナ・ディーヴァー・スミス/アニサ・ジョージ/ジェローム・ルペイジ/トゥンデ・アデビンペ/マーサー・ジッケル/キャロル・ジーン・ルイス/ジョン・アンソニー/キーラー・ジュリアン/ゴンザレス・ジョセフ/シスター・キャロル・イースト/ロビン・ヒッチコック/ボー・シア/マーリン・アイルランド/オリーブ/デブラ・ウィンガー

30点満点中17点=監3/話3/出4/芸4/技3

【姉の結婚式にて】
 薬物依存症のキムは久しぶりに治療施設から出て、父ポールや継母キャロルとともに実家へと向かう。間もなく姉レイチェルの結婚式、パーティーの準備とリハーサルは着々と進んでいた。だが、離れて暮らす実母アビーも含め、この一家にはキムの“クスリ”という問題以外にも哀しい過去を抱えていた。新郎のシドニー、介添人のキアランやエマたちの前で、衝突と狼狽、笑顔と怒りと優しさが交錯しながら、式当日がやって来る。
(2008年 アメリカ)

【人が縋るもの】
 手持ちカメラが家族の間を終始動き回り、ときおり「パーティーの様子をゲストが撮影した映像」も差し挟まれるドキュメンタリー・タッチの作り。1カットは長め、音声は同録感が強い。

 その中で人物たちが感情をぶつけ合い、だから、大きな比重を占めるのは演技。お芝居映画といっていいだろう。
 本作でオスカーにノミネートされたアン・ハサウェイは、その栄誉に恥じない芝居を見せる。タトゥまで入れて、顔を崩して、わめき散らして、バスタブにしゃがみこんで、過去作の「清純・一途」なイメージを大きく覆すような力演だ。
 ほかでは父ポールを演じたビル・アーウィンが、もう立ち居振る舞いのひとつひとつに「喜びと不安」を目いっぱい感じさせて印象に残る。あの、大丈夫大丈夫と左右の手を小さく振る動作が、実にリアル。

 もちろん、単に芝居に頼るのではなく、人の動きや距離感、何を撮るかといった点はちゃんと計算されていて、家族と周囲の表情やアイテム、各人の心の裏にあるものをきっちりとすくい上げていく。

 状況説明的なセリフもあるが、読み取りや想像を許す作りでもある。
 準備の際に「こっちがいい」と主張したものの、レイチェルに却下されたグレーの衣装を、結婚式本番で着ているキムの姿。恐らくキムが自分から言い出したのではなく、レイチェルが考えを改めたのだろう。
 シドニーの職業は明らかにされないが、たぶん音楽関係。パーティーで友人たちが演奏する多彩な音楽がサントラ代わりとなっていて、生きかた次第で人生を音楽に満ちたものにできると確認できる。

 とはいえ、他人の結婚式、見ず知らずの家族の内情を覗き見るような作品であり、それは楽しいものではない。
 ただ、この一家を壊したものが何であれ(幼い死という大きな出来事がキッカケではなく、どんな人間にも家庭にも壊れる可能性はあると訴えているように感じる)、「人生の幸せは、どれだけ愛されるかではなく、どれだけ愛せるか」という指針や、「愛する者のために何かをしたい」という価値観が、家族と作品の中に生きていることは確かだろう。

 愛し、愛を貫く心がある限り、壊れてしまったものをゆっくりと修復していくことはできるはず。それはとても難しいことで、その過程ではまた失敗や衝突を繰り返すことだろう。けれど結局、人は、そこに縋ることしかできないのだと思う。
 そんなことを、じっくりと考えさせる映画だ。

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