13日の金曜日
監督:マーカス・ニスペル
出演:ジャレッド・パダレッキ/ダニエル・パナベイカー/アマンダ・リゲッティ/トラヴィス・ヴァン・ウィンクル/アーロン・ヨー/ジョナサン・サドウスキー/ジュリアンナ・ギル/ベン・フェルドマン/アーレン・エスカーペタ/ライアン・ハンセン/ウィラ・フォード/ニック・メネル/アメリカ・オリーヴォ/カイル・デイヴィス/デレク・ミアーズ
30点満点中14点=監3/話2/出3/芸3/技3
【惨劇は繰り返される】
クリスタル・レイクのキャンプ場で夜を明かすことになったリッチー、マイク、ホイットニーたち。そこは、かつて惨劇の舞台となった地。ある母親が、息子ジェイソンを溺れさせた監視員たちに血の復讐を遂げた場所だ。そしていままた、リッチーらも殺人鬼と化したジェイソンの犠牲になる。6週間後、行方不明となった妹ホイットニーを探すクレイ、湖畔の別荘を訪れたトレントやジェナらに、ホッケーマスクを被ったジェイソンが迫る。
(2009年 アメリカ)
【面白くない】
ホラーのリメイクに熱心なマイケル・ベイの製作による作品。『アイランド』や『トランスフォーマー』シリーズに見られる、ある種のゴージャス感とかメジャーっぽさが、どんな風にこの題材で生かされるのか、ちょっと興味を抱く。
が、これがまぁ面白くない。
パラマウントもニュー・ライン・シネマも血の赤に染まり、モノクロによる序章で続編であることをアピール(リメイクではなく、パート1~4をごっちゃにしたうえでその続編を作った、という感じだ)。ここまで、つかみとしてはマズマズだろう。
が、殺人鬼ジェイソンが意外と早く姿を現し、サクサクっと若者たちを血祭りにあげていく。えらく急な展開。
と思ったら、ここは何と20分にも及ぶアヴァンタイトルだったとは。贅沢な仕様だ。つまりここからが本番、どんどん面白くなっていくわけだな、とふたたび構えなおす。
ところが、この先もいっこうに盛り上がらない。
全体としては、バドワイザーを最高のビールだと信じている愚かなおにーちゃんたちと、Hしか頭にないバカなおねーちゃんたちが、ひたすら殺されるだけ。まぁそれは『13金』らしさとして認めるとしても、殺害方法のバリエーション、スリルやショック、予想外の展開というものが決定的に不足しているのだ。
ほとんどが「いつの間にかジェイソンが背後に忍び寄っていてブシュっ」というパターンで、ユニークなのは船着場の場面くらい。殺害シーンはどれもナナメ横から撮るだけで、ダイナミズムに欠ける。
そのジェイソンの戦闘能力も、凄いと思えば簡単にやられたり、かと思えばバカなラストカットを持ってきたりして、なんだかなぁという印象。
お約束の「いったん大丈夫と思わせておいて、やっぱり死亡」とか「危ないと感じさせてセーフ」といったところもナシ。ピンチや恐怖をちゃんと意識させるカット、何がなんだかわからないうちに殺されちゃうカット、そうした見せる・見せないのバランスも悪い。
誰かが植えたらしい大麻とか、ガソリンとかバイクとか、散らされたアイテムを生かそうという意識もゼロだ。
要するに、怖くない。この30年の間に積み上げられてきたホラー&スプラッター演出のアレコレを全否定するかのように、工夫もなく、ただウガーと襲ってきて、ただギャーと死んでいく。現代の観客がそれで満足するわけないだろうに。
そのあたりのアイディアの詰め込みかたや映像化のテクニックは、よっぽど『デッドコースター』のほうが面白い。
ハッキリと期待はずれな1本。
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