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2011/08/24

エンバー 失われた光の物語

監督:ギル・キーナン
出演:シアーシャ・ローナン/ハリー・トレッダウェイ/ビル・マーレイ/トビー・ジョーンズ/マーティン・ランドー/メアリー・ケイ・プレイス/リズ・スミス/エイミー・クイン/キャサリン・クイン/マリアンヌ・ジャン=バプティスト/マッケンジー・クルック/ルシンダ・ドライチェク/B・J・ホッグ/ベッキー・スターク/ティム・ロビンス

30点満点中17点=監3/話2/出4/芸4/技4

【地下都市から抜け出すことはできるのか?】
 発電機の故障や食糧不足に怯えながら人々が暮らす、地下都市エンバー。今年も子どもたちが“割り当て日”を迎え、リーナはメッセンジャー、ドゥーンは配管工として働くことになる。ある日、リーナは先祖から伝わる箱の中に破かれた指示書を見つける。禁じられた「エンバーの外」につながるヒントではないかと考え、究明に挑むリーナとドゥーン。確かにそれは、人類最期の日に“建設者”たちが200年後の人々へ託した希望だった……。
(2008年 アメリカ)

【子ども向けディストピア脱出劇】
 閉鎖された管理社会からの脱出モノSFといえば、『THX-1138』があって『2300年未来への旅』があって、あとは『未来世紀ブラジル』とか『ガタカ』もそうか。最近では『アイランド』あたり。
 一応は「ショッキングな未来への警鐘」をベースとしながら、観念を先行させたり娯楽大作に寄ったりとバリエーションを増やし、今回は子ども向けファンタジーのネタに、といったところか。

 そう、明らかに子ども向け。わかりやすく、あくまで子ども(といっても中学生くらい)目線でお話は進み、撮りかたやテンポに余韻のようなものはナシ。手もとのアップや一人称視点、表情を正面から捉えたカットが多く、観客がリーナやドゥーンと一体化しやすい配慮かと思える。
 監督ギル・キーナン、撮影監督ハビエル・ペレス・グロベット、編集アダム・P・スコット、いずれも『モンスター・ハウス』の人。どこかアニメ的な作りだといえるかも知れない。

 かといって“子供だまし”ではない。先祖の絵を見て「あの箱って重要なものかも」とリーナが気づく場面は上々、全体に手間ひまをかけて丁寧に撮られている印象。クライマックスには「このまんまテーマパークのアトラクションにできそうだな」と思わせる楽しさもある。
 発電機が何より大切だったり、割り当て日によって職業が決まったり、賛美歌隊が青い衣装を身にまとって「青空への憧憬」を受け継いでいたりなどSFマインドも詰まっている。

 地下都市の美術、足こぎ式の音声再生機や隠し扉などのガジェットは「エレメカ・パンク」とでも呼びたくなる楽しさ、衣装も庶民派ファンタジーといった趣で、全体に『土星マンション』を思わせる世界観が素晴らしい。
 それらを赤茶系の画面で捉えて、雰囲気タップリに「200年も時間が止まったディストピア」を作り上げていく。出来事に合わせてシーンを盛り上げていくサントラもいい。

 もちろん、シアーシャ・ローナンは可愛い。他の出演作のような輝きには正直欠けるけれども、思い詰めたような目と口は相変わらずラブリー。相手役のハリー・トレッダウェイもこの世界やシアーシャの隣にピタリとハマっているし、妹ポピーを演じた双子ちゃんも結構お上手。
 そんな子どもたちの周囲では、ビル・マーレイ、トビー・ジョーンズ、マーティン・ランドーといったベテラン勢が、軽めの、けれど深刻さを壊さない程度の芝居で引き締める。「ラストがこれなら彼でしょ」というティム・ロビンスの起用も良だ。

 ま、管理社会の歪さ、外への憧れと危機感、謎解きなど、テーマと展開を考えれば必要不可欠であるファクターがちょっと突っ込み不足とも思えるけれど、まずまず楽しい仕上がりである。

●主なスタッフ
 プロダクション・デザインは『ターミネーター4』のマーティン・ラング、衣装デザインは『ライラの冒険 黄金の羅針盤』のルース・マイヤーズ、音楽は『センター・オブ・ジ・アース』のアンドリュー・ロッキントン。

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